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Panasonic G8 内蔵マイク の音質改善

2017年 03月 09日
Panasonic DMC-G8 の動画機能は、これまでのGH4に劣らないほどの性能ですが、内蔵マイクは本格的な音質を期待できない様に思えます。 本体のマイクはホットシューの両横にあり、小さな穴で(防水の目的とも考えられますが)、マイクは上方を向いています。 これでは環境音は録音出来ても、撮影対象からの直接音を拾うには適した設置ではありません。 マイクロフォンを音源に向けるのは、録音の原則ですから。

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Pana に限らず、カメラ内蔵マイクは最低限の装備で、良い録音には外部マイクを使って欲しいというのが、メーカーの姿勢でしょう。 色々な制約は仕方の無い事です。 でも、ちょっとしたアイデアですが、直接音を拾い易い様に「音の反射板」を置けば、どの程度の変化があるかと思い、これを試して見ました。



最初に作ったのが、下のアクリルの2部品を組み合わせたものです。 試作品なのでホットシューにセットする基板は、取り外し易い様に長くしています。

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YouTubeの音楽動画を再生させ、PCスピーカーからの再生音を録音して、この反射板の効果を確かめたのですが、これはちょっと小さ過ぎた様です。 余り違いが感じられません。

そこで、反射板の面積を拡げて再挑戦。

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これで、反射板の効果が判る様になりました。

テストは、PCのスピーカーから約1m離れた位置で、PCモニター画面を撮影しました。(PCモニターの下両隅に70mmクラスのスピーカーが有ります)
G8の録音設定は、
▪マイクレベル設定: 0dB
▪マイクレベルリミッター: OFF
▪風音キャンセラー: OFF
としています。 マイクレベルリミッターをONとすると、実際の感度が判らなくなり、また音質の違いも判り難くなるので、リミッターOFFで、PCの音量を適当に調節して録音しています。

下の動画が、その結果を纏めたものです。


先ず、録音レベルは反射板の有る方が大きく、これは他の環境音や、カメラ本体が発生する雑音などから、有利になると言えるでしょう。

一般に低音域の音に対しては、マイクの向きは影響が少ないものです。 一方、中音~高域に向かうに従い、指向性の影響が顕著になります。 マイクの向き(ここでは反射板の効果)が強く影響するのは、その音域です。 上のテストで反射板の有る方が「明瞭?」な印象なのは、高域側を良く拾っているからです。 ハイハット(シンバル)の音が前半と後半では全く違います。

音質はキンキンし過ぎに感じますが、これは撮影時に誇張された様に思います。 下は録音元のサイトの録音開始からの部分ですが、比較すると上の音質は前半/後半ともに劣化が明らかで、かなりがっかりします。


内蔵マイクが防水対応という点も気になりますが、操作雑音等を考慮して意図的に低域をカットしているのでしょうか。 元のはベースが表に出て音階が良く判ります。 撮影/録音した方の音は明らかに低音域が削がれてバランスが悪いと思います。 反射板はその傾向を更に強めてしまい、反射板のない後半の方が「まだ元に近い様」に聴こえます。 内蔵マイクによる録音特性は、悪いなりにも聴感を考慮しているのかも知れません。(※最後の注釈参照)

もし、こういった反射板を利用するなら、動画編集時に音質調整で高音域を少し抑えるべきでしょう。(これは、結果的に高域のノイズ特性の向上となります)

厳密なテストではありませんが、録音ゲインを物理的に稼ぐ事が出来るのが確認されたわけで、使い方によっては反射板の効果はマイナスではないと、私は考えています。 またこのテストの結果は、カメラ内蔵マイクの前方向き配置が、音質改善に繋がると推測させます。 内蔵ストロボの「LUMIX」ロゴの位置など、良さそうな候補場所はありますが...

〔注釈〕
Panasonic はマイクロフォンに関して、多くのノウハウを持つメーカーです。 Panaの汎用ユニットが安価で品質が優れている様で、「WM-61A」「改造」等で検索するとマニアによる改造記事が多数検索されます。 それらの記事を読むにつけ、素性の良いユニットであれカメラ内蔵という不利な条件は致し方ないのかと思えます。

GH5では、ボディからの音を別個に拾い、外部音に混入するボディ雑音を差し引く方式を導入した様です。 その効果はどの程度でしょう? 最終的に音に拘るなら外部マイクと言うことが、ふたたび頭に浮かびます。



by Ataron | 2017-03-09 01:35 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)
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