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EOS 7Dを巡る攻防...白飛び黒潰れ恐怖症候群

2009年 10月 27日
価格.comでのダナミックレンジの論争を少し興味を持って見ていたが、考えさせられる事があった。

写真映像は「限定されたリアリティ」という側面を持っている。最初はモノクロームでどうにか見れる写真に始まったが、人はそれに現実の被写体のリアリティを感じ取り、大変に惹きつけられたに違いない。写真を見る時には想像力が活性化し、それが写真である事も認識した上で、映像上の物を見てとるのだと思う。印画紙、高度な印刷、プロジェクター、CRTモニター等々とディスプレーの形を変えても、人はやはり、それが写真映像である事を認識した上で観ているはずだ。

プリント写真については、反射原稿であるから、表現できるダイナミックレンジは狭い。そういうディスプレーを通じても、人は「太陽の下の木陰」の図に納得出来る。同じデータを最新のコントラスト比の優れたモニターを通じて観れば、おそらく「より」リアリティを感じるだろう。

南に向かって扉の並んだ部屋を作り、一つの扉の外にモニター、他の扉の外に本当の「太陽の下の木陰」を用意して、片目で見て部屋の中から違いが判らなければ、その写真映像の系のダイナミックレンジは人の眼を越えて余裕がある事になるだろう。しかし、未だそんな凄いモニターは完成していないと思うのだが、無知なだけだろうか?

人は想像力の力を借りて、ダイナミックレンジの狭い映像から、その映像のソースとして有りそうな光景を想像する。しかし、本当にそのソースの現場に置かれた時に、実際の光景のダイナミックレンジの大きさに驚くこともあるだろう。雪の世界、眩しい太陽の下、稲妻の空...いくらでも有りうる。

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この写真技術の条件下で、それを補う色々な表現方法がある。例えば動画で「太陽の下の木陰」を表す際に、ハイキーで太陽を写し、パンして絞りを絞り気味に木陰を映せば、木陰の涼しさと太陽の明るさが強調される。スチールはこんな細工が出来ないから、少しアンダーに木陰を写し、太陽は木の葉の間から光らせるというのもアリだろう。色々なアイデアで「太陽の下の木陰」を絵にして、気に入ったのを採る事になる。

こんな事を書いているのは、件の価格.comの中では、「白飛び」や「黒潰れ」が今生の仇である様な書き方が蔓延しているからだ。「白飛び」も「黒潰れ」も含めた写真映像の癖を利用して、映画や写真はより幅を持たせる事が出来るのに、写真の一部のリニアリティのみに拘る様な窮屈な考えで、遠回りする人が多くなっては困ると思う。

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7Dで撮った写真をアップ、Jpeg Mサイズ出し。木の緑が夕暮れ近い陽に照らされていたが、空はうす曇り。ピクチャースタイルのスタンダードでは精彩の無い絵になってしまう。
EOS 7Dを巡る攻防...白飛び黒潰れ恐怖症候群_b0174191_0374664.jpg
もっと鮮やかさが欲しくて、ガンマ、コントラスト、サチュレーションをめいっぱい弄り、少しシャープネスを上げたところ。
EOS 7Dを巡る攻防...白飛び黒潰れ恐怖症候群_b0174191_042144.jpg
樹木や車庫の屋根の立体感が増して、茶色いフェンスに背中側の建物の反照が浮かび出て来た。車の手前の小木がCGっぽくて良い。 空の白飛びを気にしていると、この絵はさえないと思う。



by Ataron | 2009-10-27 23:08 | 単なる写真 | Trackback | Comments(0)
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