Studio TA Subsite の案内とお知らせ

Sultans Of Swing (悲しきサルタン) / Dire Straits (和訳)

2013年 04月 21日
何度聴いても飽きるどころか...この曲の歌詞を調べると、様々なことが溢れ出て来ます。

+

既に多くところで和訳がされていますが、元の英詞も色々と異なっていたりします。 これは、英語の採詞の間違いの可能性がありますが、もしかしたら録音音源によるのかも知れません。 また、YouTubeのライブ映像では、時代とともに詞を少し変えて歌っていますから、何を確かとすれば良いのやら。

そんな事から、私は音源を一般的に流布しているであろうバージョンと決め、これを可能な限りヒアリングをして採詞しました。 音源のサンプルは、現在YouTubeにアップロードされている例では下のものです。
Dire Straits - Sultans of Swing | NOT LIVE !!! | CD version !!! | Original
なにぶんネイティブな英語耳を持たないので、間違いは在るかと思いますが...



                  Sultans Of Swing
                      / Dire Straits 1978
                       Music & Lyrics by Mark Knopfler

You get a shiver in the dark
It's raining in the park, meantime
South of the river you stop and you hold everything
A band is blowing Dixie double four time
You feel alright when you hear that music ring

And now you step inside,
but you don't see too many faces
Coming in out of the rain to hear the jazz go down
Competition in other places,
a butter horn be blowing out sound
Way on downsouth,
Way on downsouth London town

You check out Guitar George,
he knows all chords
Mind he's strictly rhythm, he doesn't wanna make it cry or sing
Yes, then an old guitar is all he can afford,
when he gets up under the lights to play his thing

And Harry doesn't mind,
if he doesn't make the scene
He's got a daytime job, he's doing alright
He can play the honky tonk like anything
Saving it up for Friday night
with the Sultans,
with the Sultans of Swing

Then a crowd of young boys,
they're fooling around in the corner
Jogging dressed in their best brown baggies and their platform soles 
They don't give a damn about any trumpet playing band
It ain't what they call rock and roll
And the Sultans
Yea the Sultans played Creole ...Creole

Then the man steps right up to the microphone,
says at last just as time bell rings
'Goodnight, now it's time to go home'
And he makes it fast with one more thing
'We are the Sultans ...
We are the Sultans of Swing'



暗くなってきて身震いする
公園は雨が降っていて、そんな中
川の南に来て立ち止まり聞き入ってしまう
バンドがディキシーをダブルフォーの拍子でやっている
音楽が流れてくるとほっとするもんだ

さて店に入ってみると
客の入りはまばら
雨の中ジャズを聞きに来るなんてね
ほかのところのコンペでは
めちゃウマのホーンを鳴らしてる
南のあたりじゃね
ロンドンの南ではね

ギターのジョージはすごいぜ
あいつはコードが全部判ってる
リズムに忠実で、ギターが泣くとか歌うなんて好きじゃない
ああそれとだが、古いギターの一本しかないんだ
ライトの中に立って弾く時もあるのに

で、ハリーはおかまいなし
もしちゃんと来れなくても
昼間の仕事があって、やってけるからね
やつはホンキートンクがやたら上手くて
それを金曜の晩にとっておく
サルタンズにね
サルタンズ・オブ・スイングでやるためにだ

若い連中がいて
隅でバカ騒ぎしてる
一張羅の茶のバギーパンツと厚底靴でこづき合い
ペットを吹くバンドなど少しも興味なし
あいつらの言うロックンロールじゃないわけだ
で、サルタンズは . . .
そう、サルタンズはクレオールをやった . . .クレオールだぜ

さて、あの男がマイクところに来て
終りのベルにあわせて最後に言うのだ
「おやすみなさい、もうお帰りの時間です」
そしてもうひとつ決めのセリフ
「我々はサルタンズ . . . 」
「我々はサルタンズ・オブ・スイング」


+

この作業を通じて、幾つか気になった所を挙げておきます。

〔第1節〕
「meantime」という語が出て来ます。 「but meantime」としている採詞が多いですが、私には「but」が聞こえず、「in the」を省略した「meantime」のみの採詞が適切に思えます。
上とは別解釈ですが、色々調べると有名なグリニッジ標準時(Greenwich Mean Time)があり、その標識のあるグリニッジ公園はロンドン名所のひとつです。

b0174191_15503953.jpg

そこで、「the park Meantime」つまり「標準時の公園」などと俗称されることが有るならばですが、この公園がテムズ川の南にあり、川の南で生バンドが入る店の内容とも繋がります。 これは少し無理があるでしょうか?
海外の「Songfacts」(曲の真実)というサイトによせられたコメントに以下の様なものがあります。 場所の設定が私の想像と同じで「確信」した書き方ですが、どんなもんでしょう。(ノップラー本人に聞くのが一番ですが)
== Comment : John - London, United Kingdom ==
The setting is a jazz pub in Greenwich London.
Meantime, and south of the river are the clues.
Before they hit the big time , they shared a council flat in Deptford , which is about a mile from Greenwich park .The pub is either the Mitre in Greenwich , or the Prince of Orange in Rotherhithe
The story goes that close to where they lived in Farrer House on the Crossfield council estate ."Love over gold" was scrawled on a wall.The rest is history. 

上のコメントは、ダイアストレイツのメンバー等が共同で住んでいたのが「Deptford」で、パブは「the Mitre」「the Prince of Orange」のどちらかとしています。
上記地図に実際の場所を入れました。 下のリンクはそれぞれの場所のストリートビューです。 ちょっと訪れてみてください。
 the Mitre (ストリートビュー)
 the Prince of Orange (ストリートビュー)
 Farrer House Deptford (ストリートビュー)

でも、あくまでこれらは詞の設定上での話です。 同サイトとしての「公式の事実」では、ノップラーがこの曲の着想を得た場所は「Ipswich」(イプスウィッチ:ロンドンの東北100kmにある都市)の寂れたパブで、雨の夜だったとしています。

「Dixie double four time」については、やはり「Songfacts」に情報があります。『Dixie double はジャンゴ・ラインハルト(と初期のレス・ポール)が普及させた演奏スタイルのことで、ギターがきわめて速く、ベースも同様に一緒に速く演奏するもの』という内容です。 それは違う『単に4/4拍子のことをダブルフォーと言った』という意見もあります。 私は後者の気がしますが、ここは下手に訳さない方がよさそうです。

〔第2節〕
「a butter horn be blowing out sound」の部分は難所です。最初の部分を「but a horn」とすると意味も変わって来ます。 私は若者のスラングに「butter(すごい)」という表現があり、これを採っています。「horn be」の部分も「horn's ~」と聞こえなくもないですが、それより後の「be」に聞こえる部分が判りません。 存在強調の「be」をこういう風に使えるのか自信がありませんが...一応。
この解釈は「他の所のコンペで、現に巧いブラスを鳴らしてる」「南部あたりではなぁ」と、暗に以降のこの店の客層への不満をこめたという読みなのです。

(追記)
正確を期そうと何度も見直していますが、私のこの部分の採詞は独断が強いと思い、ネット上で最も多く見られる採詞の2種をここに紹介します。
(1)私の元とした音源の採詞で最も多いもの
   Competition in other places
   Oh, but the horns they're blowing that sound
(2)明らかに上と異なる歌詞の映像があり、その採詞とされているもの
   Too much competition too many other places   他の多くの場所で沢山コンペがあるが
   But not too many horns can make that sound   あんな音を出せるホーンはそう多くはない

(2)は意味が採り易く、歌詞を変えても意味の流れは大きく変えないと推測して、(1)をその線で訳して良いかもしれません。(1)の2行目は口語的な文で述部が略されていると考えれば、
  他のところのコンペでは
  あぁ、このホーンだけは、彼等が出してるあの音は(聞けないよなぁ)
という様な訳になるでしょうか?
ただ「horns」の複数形が気になりますし、(2)と大意が同じというのは推測です。 ここは、色んな訳が出ても仕方のない気がします。

〔第3節〕
「check out」は「check it out」という若者言葉と同意で「かっこいいぜ」という様な使い方でしょう。バンド仲間を自慢しながら、貧乏な所も言い訳しているペーソスあるくだりです。

〔第3節〕
「make the scene」は俗語で「その場に顔を出す」的な意味でしょう。 メンバーが安定しない売れない時代のやりくり。 「like anything」は猛烈にというほめ言葉でしょう。 ハリーが金曜の晩にはばっちりサルタンズで決めるというくだりで、初めてバンド名が明かされます。

〔第4節〕
私の2節の解釈はこの節との関係でです。 店に来ている若者達は、ペット(ブラス)等の入ったバンドに全く無関心、サルタンズはクレオールを演奏したんだぜ。 受けるわけないよな。
ここは、現実のノップラーの下積み時代のアナロジーっぽく見えます。 英国はパンクムーブメントの最中で、彼等のセンスは受け入れられず、米国でその芽を出し英国に返り咲いたのが、実にこの曲を持ってですからね。

〔第5節〕
訳上は余り困りませんが、意味深げな節です。 この節の頭に出てくる「the man」は、店の終わりを告げます。 しかし、最後に「We are the Sultans of Swing」と閉めの言葉を言うのです。 サルタンズのリーダー(この話の語り手)が言った様には書かれていません。
私には、この「the man」は、実在のディスクジョッキー(アラン・フリード)の亡霊とするのが一番ぴったり来ます。 「the man」は、この話の中の売れないサルタンズに代わって、「みなサルタンズなんだよ」と締めくくったと思うのです。

(追記)語り手が、サルタンズというバンドを良く知る観客の一人で、この夜のライブの有様をドキュメンタリー風に紹介していると解釈すれば、「the man」にファンタジックな意味を付け加える必要はありません。 「Songfacts」では「語り手は一人の観客」という説を最初に述べています。 これは、なるほど腑に落ちる解釈ですが、私の様な思い込みもありではないかと思っています。

+

この訳詞に至るまでに、幾つかの貴重な資料と示唆をいただいたページを紹介します。 引用と要約も考えましたが、みな素晴らしい纏めですので、リンクのみとさせていただきます。

Those Were The Days なつメロ英語
(ここは、最近閉じられた様で残念です。再掲を望むところです)

上記ページにあるリンクになりますが、アラン・フリードについて纏められています。
ポップの世紀 Pop Culture of 20th Century / 元祖ラジオ・スターの悲劇

アラン・フリードが高校時代に作ったジャズバンド「The Sultans of Swing」のことが以下に書かれています。
ウィキぺディア / アラン・フリード

+

以下に興味深い情報があります。
英語版 ウィキぺディア WikipediA / Sultans of Swing

以下はその一部の引用です。
◎1977年7月 デモ録音 Pathway Studios
◎1978年初期 デビューアルバム「Dire Straits」のため再録音 Basing Street Studios
◎1978年4月 ラジオ向けにシングルバージョンを再録音 Pathway Studios
これに拠ると、最低3つの録音がある事になります。 しかし、出所が不明な採詞はとても多いですね。

Deptford の寂びれたパブの片隅で演奏するジャズバンドを目の当たりにして、ノップラーはこの曲の着想を得た。 演奏の終わりにリードシンガーが、彼等が「Sultans of Swing」であるとアナウンスした。 ノップラーは、グループのだらしない姿と大げさなバンド名の落差が面白いと思ったのだ。
この英語版ウィキぺディアでは、場所が「Deptford」となっていて、Songfactsとはくいちがいます。
無名のジャズバンドは、アラン・フリードの作っていたバンド名と知った上で、その名を頂戴していたのでしょうか? アランの話は、向こうではそれなりに知られた事の様に思えますが。

この雨の日、アランが時を超えてノップラーをスターへの道に導いた...と言えるかも知れません。

+

最後に、これがなくては。 1984年 Alchemy Live
Check it out! ピックなしですごい弾き方です。




b0174191_16575941.png


[PR]
by Ataron | 2013-04-21 22:53 | 映画/音楽/本 | Comments(2)
Commented by ケンタ at 2017-01-27 20:15 x
ダイアーストレイツ最高!
マーク・ノツプラーの乾いたギター・サウンド、最高!
Commented by Ataron at 2017-01-31 18:19
ノッブラー、最高ですね。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。