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CPUファンの応急修理

2013年 11月 24日
デスクトップ型PCからキリキリという異音がし、次第に耳障りになって来たのでシャーシを開けて調べると、CPUファンからの音でした。 ファンは70mmサイズの4pinコネクターで、これはAMDのCPUに付いて来たもの。 調べたところ同型ファンは入手が難しく、とりあえず応急修理しました。 このタイプのファンは類似の構造のものが多く、修理の参考資料として挙げておきます。

先ず、基本構造の模式図です。
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● 一番外側を囲う外枠と、中央のモーター部の台座とは一体成型で繋がっています。(図の濃い灰色) 台座の中央はベアリング(赤色)を嵌め込むカップが成型されています。

● 中央の基板上にコイル(電磁石)があり、台座に基板ごと固定されています。(緑色)

● ファンの翼と中央のモーターのカバーは一体で(青色)、カバー内側には円筒状のマグネット(淡灰色)が貼り付けられています。

● モーターのカバーの中心に、モーター回転軸となる軸が固定されています。 したがって、翼・カバー・マグネット・軸は一体となり回転する構造です。

● これら回転部分の軸は、台座中央に嵌められたベアリングに通して、台座の裏側でCリングで抜け落ちない様に固定されています。 Cリングは一般に樹脂製で、軸と共に回転します。 また、ベアリングは台座や軸に固定されておらず、互いに嵌合しているだけです。

● スプリングはベアリング内側(回転側)の上部に接し、ベアリング全体を台座側へ押し付けます。 ベアリングは外側(固定側)だけが台座に接する構造で、バネ圧は殆ど回転を妨げません。 他でバネ圧が摩擦に影響するのはCリング周辺ですが、部材や形状で摩擦を減らす工夫をしている様です。 (小型ファンでは、この様なスプリング/ベアリングを使わない簡素なものもあります)

● 興味深い点は、このスプリングを使用する意味です。 翼は回転時に上方への力を発生するので、ベアリング外側を台座に固定しただけの構造が普通に思えますが。 ベアリングを固定せず無理のない芯出しをさせているのか、回転軸のブレを抑えるためか、ここには技術上のノウハウがある様です。

〔分解の手順〕
①台座の裏側の中央は、一般にシールを貼ってCリング部がカバーされています。 シールを再利用するので、カッターの刃などで上手く剥がします。 剥がしたシールが使えない場合は、適当なありあわせの粘着シールで代用可能です。 下は中央の円形のシールを剥がした状態です。
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軸にツバ状に固定されたCリングが見えます。 一ヶ所切れ目があり、ここを細いドライバーで開いて軸から外します。 組立て時に再利用する重要な部品なので、丁寧に傷めない様に外します。 これが分解の一番の難所で、私は2本のマイナスのマイクロドライバーを使い、下図の要領で段階的に広げる様にしています。(最後の補足を必読のこと)
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②Cリングが外れるとファンの翼が反対側に抜けます。 翼を引く、軸を押すなどして抜きます。 下は、分解されたバーツを並べたものです。
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私の場合、ファンの軸にサビが出ていました。
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このサビは軸自体のサビでなく、ベアリングから出たものと思えます。 ともかくこれらを綺麗にし、ベアリングと軸にシリコングリスを塗布して元に戻したところ、異音は出なくなりました。 しばらくはしのげそうです。

〔補足〕
Cリングの取外しで、Cリングを駄目にして他からリングを調達した経験が何度かあります。 内部清掃や原因を確かめた完全な修理を求めるのでなければ、なるべく分解をしないことをお勧めします。 今回の様な異音の発生は経年したファンに大変多い不具合で、軸背部からの注油だけで一時的にしのぐ事はかなりの確率で可能です。

PCに使用される同形状のファンの多くは、翼/モーターのカバーの全体を台座側に押すと、Cリングが背部側に少し浮きます。 その隙間から軸に直接注油が可能でしょう。 但しこの様な方法は、粘性の少ない油の浸透力に頼るだけで、内部の何処まで油がまわるのか不確かです。 清掃と最適な注油のために分解するか、分解を避けて簡単に済ますかは、判断のしどころです。 いずれにしても、装置の信頼性を得たい場合は、ファンの寿命と考えて交換を念頭におく必要があります。 

使用する潤滑油はシリコンオイル・シリコングリースなどシリコン性のものが良く、それ以外の鉱物油や~556等を使うと、プラスチックを侵食して時間を経て問題を生じる可能性があります。 背部からの注油で済ます場合は、シリコン性ミシンオイル等の粘性の低いもの(ホームセンターで入手可能でしょう)が適しています。

〔補足2〕
上記CPUファンは入手困難な70mmサイズのため分解注油でしのいだのですが、約1年後に異音を再び出し始めました。 そのPCを再整備した際に、ついでに多種のCPUファンが流通する80mmサイズを利用できる様に、サイズ変換アダプターを自作し好結果を得ています。 70mmサイズという点で困っている方は、以下を参照ください。





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by Ataron | 2013-11-24 01:58 | PC環境(ハード/ソフト) | Comments(0)
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