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Video Killed The Radio Star(ラジオスターの悲劇)/ The Buggles(和訳)

2015年 06月 29日
なんて素晴らしい曲でしょう、この曲は。 何か可笑しく楽しくて素敵な女性のバックコーラス、ベースとドラムスの乗り、そこらじゅうに散りばめられたフレーズの輝き、間合いと繋ぎの冴え...

動画は2004年に初期メンバーが揃ったライブのもの。 コーラスの中の2人の女性も、オリジナル録音と同じ方達の様ですね。



 
               Video Killed The Radio Star
                  / The Buggles 1979
                   Written by Horn, Downes, Woolley
 

I heard you on the wireless back in '52
Lying awake intently tuning in on you
If I was young it didn't stop you coming through
Oh, Oh

They took the credit for your second symphony
Re-written by machine, a new technology
And now I understand the problems you could see
Oh, Oh, I met your children
Oh, Oh, What did you tell them

Video killed the radio star
Video killed the radio star
Pictures came and broke your heart
Oh, Oh, Oh

And now we meet in an abandoned studio
We hear the playback and it seems so long ago
And you remember the jingles used to go
Oh, Oh, You were the first one
Oh, Oh, You were the last one

Video killed the radio star
Video killed the radio star
In my mind and in my car
We can't rewind, we've gone too far
Oh, Oh, Oh
Oh, Oh, Oh

Video killed the radio star
Video killed the radio star
In my mind and in my car
We can't rewind, we've gone too far
Pictures came and broke your heart
Put the blame on VTR

You are a radio star
You are a radio star
You are a radio star
You are a radio star
Video killed the radio star
Video killed the radio star
Video killed the radio star
Video killed the radio star


 
1952年の昔に 僕は電波に乗ったあなたを聴いた
寝転んであなたの放送に一心にダイアルを合わせてた
僕が若かった時は あなたは止むことなく伝わって来た


彼等はあなたのシンフォニー第2番を自分の手柄にした
新しいテクノロジーの装置で書き換えたんだ
今の僕には判るよ あなたが目にした困難が
僕はあなたの子供達に会ったよ
あなたは彼等に何て言ったのだろうか

テレビがラジオスターを殺してしまった
テレビがラジオスターを殺してしまった
映像の群れがやって来て あなたのハートを壊したのだ


そして今 見捨てられたスタジオの中で僕等は出会う
僕等はプレイバックを聞いてずいぶん昔しだなと思う
そして思い出すんだ よくかかってたジングルの数々を
あなたは一番最初で
あなたが最後の人だった

テレビがラジオスターを殺してしまった
テレビがラジオスターを殺してしまった
僕の心の中に 僕の車の中に
僕等は巻き戻せない 余りに遠くまで来てしまったんだ



テレビがラジオスターを殺してしまった
テレビがラジオスターを殺してしまった
僕の心の中に 僕の車の中に
僕等は巻き戻せない 余りに遠くまで来てしまったんだ
映像の群れがやって来て あなたのハートを壊した
ビデオレコーダーのせいにしてね

あなたはラジオスター
あなたはラジオスター
あなたはラジオスター
あなたはラジオスター
テレビがラジオスターを殺してしまった
テレビがラジオスターを殺してしまった
テレビがラジオスターを殺してしまった
テレビがラジオスターを殺してしまった




〔訳注〕
この曲の「the radio star」は、ラジオが放送メディアの主役だった時代に輝いていたもの、それは名ディスクジョッキーや人気ラジオ番組、そして流れ来る楽曲などなど、過去に皆が夢中になった全てを指していると思います。 また、日本でビデオと言うと、ビデオテープレコーダー(VTR)やビデオ録画された映像を意味する場合が多いのですが、この曲の「video」は放送メディアとしてのテレビが適当と思います。 私は訳上で敢えてテレビとしています。

第1節
ここで「you」と語りかける相手は、ディスクジョッキーや放送番組などのことを思わせます。
「If I was young it didn't stop you coming through」の後半、主語は「I」ではなく「it」です。 私は、この「it」は状況や環境を意味する主語と考え、
「その状況は、あなたが伝わり来るのを止めることがない様なものだった」という意味に解釈しています。

第2節
この節は、クラシックの楽曲のいいとこ取りで、ポップスにアレンジされる話ですね。 バックにシンセによるクラシック風の小節が流れ、それを暗示します。「children」はその様にアレンジされた音楽の事でしょう。「met」はそれを「聞いたことがある」ということでは。「met」は、第4節でも「作品や録音に対する出会い」として使われています。

第3節
映像を主とするメディアが登場し、それまで輝いていたものを荒々しく駆逐してしまった。

第4節
この節の「we」は一般的な語り上の主語と解釈しています。
「私達は時代遅れのスタジオで、眠っている旧い録音の中であなたに出会う」という内容。
「you remember」の「you」は語りの相手でやはり私達を指し、「radio star」を指してはいないでしょう。
「jingle」は効果音や、楽曲の一部を加工した短い音源等、放送のメリハリを付けたり盛り上げる音素材のこと。 TVのバラエティ番組でも多用されてますね。

第5節
心の中で、車の中で、いつも輝いていたラジオスターは、もう戻って来ない。 時代の変化は戻せない。 「rewind」はテープ・フイルム等を巻き戻すという言葉ですが、過去の音メディアを語る流れに沿った、にくい表現ですね。

第6節
「Put the blame on VTR」の「put」は、その前行の「came」「broke」と同じ過去形で、主語は「Pictures」という解釈です。 ここを現在形(命令文)と考えると意味を通しにくいので。

〔追記〕
第1節
「If I was young」は「If I were young」(仮定法過去)の口語的表現に思えます。 私の訳通りなら「When I was young」と普通は言いますから。しかし「私が若かったら(私は)~するのに」という文章ではなく、ここは迷ったところです。これは「あの当時だったらなぁ」というニュアンスを込めた表現ではないでしょうか。

それに続く「it ~」の部分は、やはり「itの特別用法」でしょう。 後にネットを調べて、この部分は以下の方の訳が最も当を得ているのではないかと思いました。

Reason To Live 「ラジオ・スターの悲劇」
「あの頃 あなたの勢いは誰にも止められなかった」

「come through」は「やりとおす」「成功する」「難をしのぐ」「(電話などが)つながる」「(真意が)伝わる」など、色々な使われ方がある様です。 上の方は「成功する」の意味を含めていると思います。

〔追記2〕
トレバーホーンは「音響清掃」という短編小説から、この曲の着想を得たとされています。 これは、時代や空間設定が空想的な(読者の全くの想像に任される)短編SFです。 ネット上には映画ほどにも「あらすじ」がないので、少し導入部を紹介します。 要約元は 創元SF文庫「時の声/音響清掃/J.G.バラード(吉田誠一訳)」です。

その時代では、音がゴミやチリの様に室内に堆積してこびり付き、人々はそれを不快に感じて、音響清掃人にそれを清掃させていた。 音響清掃人のマンゴンは母親の暴力で声を失った男で、それ故か特異な聴覚を持っていて、壁に染み付いた音の残渣から、そこで話された声を聞き分けることすら出来る。その特異な聴覚のため、清掃し過ぎが問題となるデリケートな仕事がこなせた彼は、下層の仕事とはいえ音響清掃を天職と納得していた。

マンゴンの仕事先のひとつに、昔に名をはせたオペラ歌手のマダム・ジョコンダがいた。 彼女は寂れたF街のはずれ、ガード式交差点の下の、打ち捨てられた放送局を買い取って住んでいた。 彼女は過去の栄光にとらわれていて、その渇望が幻覚となっている。 道路の音が静まる夜になると、空席のホールに拍手が沸きあがり、最後にはあざけりの野次が彼女を苦しめるのだ。 マダム・ジョコンダは、ステージの隅に過去の舞台装飾を寄せ集めて仮住いとしていたが、そこに一年前からマンゴンが音響清掃に呼ばれる様になっていた。 現実には無い野次や罵声なども清掃するふりをして、マンゴンは彼女の妄想に付き合ってやっていた。 しかし、文字通り過去の中に閉じこもりながらも、彼女はオペラ歌手として、再び表舞台に返咲くことを画策していた。

マダム・ジョコンダの凋落の背景には、放送業界を支配するある有力者が彼女を利用した経緯があったのだが、それ以上の過酷な現実が存在した。 数年前に超音波音楽の技術が実用化されて以来、それが音楽放送の世界を一新してしまったのだ。 超音波音楽は聴く人に直接音楽のエッセンスを送り込む技術で、過去の音楽は演奏時間を百分の1以下に圧縮変換して伝えることが可能となっていた。 それまでの「音」を扱うレコードや楽器や楽団や劇場は一気に廃れ、非機械的な人の音声をもってするオペラ歌手は、完全に活路を絶たれていたのだ。

小説中で、廃れた放送局は50フィート上を八車線高架道路が走っている設定になっています。 この放送局のジョコンダの棲家のイメージは強烈です。 主人公がオペラ歌手に感じていたものは、恋愛感情としては描かれていません。 少し屈折したもので、これは読んで受け取ってもらう方が良い。 息がつまる様な音のゴミを人々が不快に思う世界、聞こえないのに音楽の感動を生じる超音波音楽、音のゴミを集積貯蔵するゴミ捨て場、音を吸引掃除する装置ソノヴァック、などなど。 なさそうでありそうな世界に読むにつれ入りこんでしまいます。

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by Ataron | 2015-06-29 20:38 | 映画/音楽/本 | Comments(4)
Commented by Mgirl at 2017-01-15 18:39 x
この歌が好きですけれど、和訳の意味がわからなくて、調べていたら、こちらのブログにたどり着きました。
歌詞の解釈が素晴らしいです!
Commented by Ataron at 2017-01-15 21:54
Mgirlさん、コメントありがとうございます。

歌詞の訳は、おうよそは似かよっていても、細かい部分やニュアンスは、訳する人に拠って異なって来ます。 母国語の人に見せて「なんでそうなるの」って言われない様に頑張るんですけど、判らない所はたいてい何ヵ所か出て来るんですよね。

でも、Mgirlさんの様に、私もこの曲が大好きです。 だから、間違いも覚悟でネットに問うてアップしてます。 そんな人が増えて、だんだんと曲の歌詞の本当の姿が日本語にも投影されるなら、それは素敵なことだと思っています。
Commented by voyager2017 at 2017-06-17 23:26
この曲の歌詞と翻訳を探しててここにきました、背景や解釈まで素晴らしくこの曲が更に好きになりました!
ただ、put the blame on VTR はどうしても
VCRに聴こえます。
Commented by Ataron at 2017-06-18 00:52
voyager2017 さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。 ほんまですね。VTRを辞書で見ると「読み:ブイティーアール」と、まあ無難な内容でしたが、辞書の音のサンプルを聞くと「ビーティアー」と聞こえ出すしまつ。 前後の繋がりで会話は理解してる事が多いから、悩まないことにします xx);
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