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EOS 7Dを巡る攻防...白飛び黒潰れ恐怖症候群

2009年 10月 27日
価格.comでのダナミックレンジの論争を少し興味を持って見ていたが、考えさせられる事があった。

写真映像は「限定されたリアリティ」という側面を持っている。最初はモノクロームでどうにか見れる写真に始まったが、人はそれに現実の被写体のリアリティを感じ取り、大変に惹きつけられたに違いない。写真を見る時には想像力が活性化し、それが写真である事も認識した上で、映像上の物を見てとるのだと思う。印画紙、高度な印刷、プロジェクター、CRTモニター等々とディスプレーの形を変えても、人はやはり、それが写真映像である事を認識した上で観ているはずだ。

プリント写真については、反射原稿であるから、表現できるダイナミックレンジは狭い。そういうディスプレーを通じても、人は「太陽の下の木陰」の図に納得出来る。同じデータを最新のコントラスト比の優れたモニターを通じて観れば、おそらく「より」リアリティを感じるだろう。

南に向かって扉の並んだ部屋を作り、一つの扉の外にモニター、他の扉の外に本当の「太陽の下の木陰」を用意して、片目で見て部屋の中から違いが判らなければ、その写真映像の系のダイナミックレンジは人の眼を越えて余裕がある事になるだろう。しかし、未だそんな凄いモニターは完成していないと思うのだが、無知なだけだろうか?

人は想像力の力を借りて、ダイナミックレンジの狭い映像から、その映像のソースとして有りそうな光景を想像する。しかし、本当にそのソースの現場に置かれた時に、実際の光景のダイナミックレンジの大きさに驚くこともあるだろう。雪の世界、眩しい太陽の下、稲妻の空...いくらでも有りうる。

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この写真技術の条件下で、それを補う色々な表現方法がある。例えば動画で「太陽の下の木陰」を表す際に、ハイキーで太陽を写し、パンして絞りを絞り気味に木陰を映せば、木陰の涼しさと太陽の明るさが強調される。スチールはこんな細工が出来ないから、少しアンダーに木陰を写し、太陽は木の葉の間から光らせるというのもアリだろう。色々なアイデアで「太陽の下の木陰」を絵にして、気に入ったのを採る事になる。

こんな事を書いているのは、件の価格.comの中では、「白飛び」や「黒潰れ」が今生の仇である様な書き方が蔓延しているからだ。「白飛び」も「黒潰れ」も含めた写真映像の癖を利用して、映画や写真はより幅を持たせる事が出来るのに、写真の一部のリニアリティのみに拘る様な窮屈な考えで、遠回りする人が多くなっては困ると思う。

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7Dで撮った写真をアップ、Jpeg Mサイズ出し。木の緑が夕暮れ近い陽に照らされていたが、空はうす曇り。ピクチャースタイルのスタンダードでは精彩の無い絵になってしまう。
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もっと鮮やかさが欲しくて、ガンマ、コントラスト、サチュレーションをめいっぱい弄り、少しシャープネスを上げたところ。
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樹木や車庫の屋根の立体感が増して、茶色いフェンスに背中側の建物の反照が浮かび出て来た。車の手前の小木がCGっぽくて良い。 空の白飛びを気にしていると、この絵はさえないと思う。



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by Ataron | 2009-10-27 23:08 | 単なる写真 | Comments(0)

EOS 7D ショックレス撮影のテスト (1)

2009年 10月 25日
手元に EOS KissDN と EOS 7D が揃ったので望遠撮影上で問題になりがちな、撮影時のメカニカルショックについて、基本的なテストをしました。

1枚撮りの結果はこのページ 「 EOS 7D ショックレス撮影のテスト(1)」に掲載しました。
7Dの連続撮影(連写)時の結果は「 EOS 7D ショックレス撮影のテスト(2)」を参照ください。
 
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Kiss DN の発表された時代にはなかった、ライブビュー機能や静音撮影機能を 7D は備えている。マニアルフォーカシングの困難さから(Reflex-Nikkor 1000㎜ はF11である)、ライブビュー機能が搭載され始めた当初から注目していた。 また、静音撮影機能はミラーショックを無くし、シャッターショックを半減以下にするものとして有効に違いなく、これまた超望遠にはありがたい機能だ。

シャッターの先幕をあらかじめ開いてライブビューを行っていて、レリーズ時に、シャッターが開いた時に得られる初期情報を電子的に再現し、露光後、メカニカルシャッターを閉じて撮影終了するらしい。ライブビュー機能と静音撮影はいわば兄弟機能であり、ライブビューモードに入ってなければ静音撮影は出来ない。

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ライブビュー時の動作について、カタログ等を見てもいまひとつ不明だった点が幾つかあったので、実機で調べた結果を参考に挙げておきます。

①ライブAFモード クイック で 静音撮影 のセット時の動作
これは、シャッターボタン半押しでミラーが一旦降りるクイック動作でフォーカス合焦後、レリーズ待機となり、押し込むと静穏撮影が実行される。オートフォーカスの効かない超望遠では無意味なセット。オートフォーカスの効く望遠レンズやマクロレンズを使用する場合、迷いがちなライブAFモードのライブモードが使いたくない場合に有効。 レリーズまで一呼吸置けば良いだろう。

②静音撮影で連写した場合の動作
ライブビュー画面はOFFとなったまま静音撮影の連写動作が行われる。連写を止めるとライブビューに戻る。ミラー動作は無くアップしたまま。シャッター幕は後幕のみ動作していると想像されるが、この連写時のシャッターのメカニカル振動については別の所でテストしたい。

③ライブビューモードで静音撮影なしの設定
静音撮影の後幕の音の前に、先幕を引いてセットするらしい音が入り、その直後にシャッターが落ちる。その間、ミラーアップは継続し、撮影後にライブビューに戻る。

③ミラーアップ撮影(カステムFN)を設定した場合
一回目のレリーズ(最底までの押し込み)でミラーがアップ。二度目のレリーズでシャッターが落ちる。これは従来の踏襲で、ミラーアップ撮影を設定すると連写はできない。静音撮影のセットがあっても、通常の幕走行をしていると思われるが、ミラーが直後にアップする音と、元々シャッター音が小さい方なので確かに判定はできない。
また、ライブモードに入れるとミラーアップ撮影の設定は無視され、連写が可能になる。

④ライブビューの拡大機能は、一回の撮影で拡大無しの状態にリセットされる。少し不便な場合があると思われる。拡大位置は保持されるのだが。
ライブビュー画像は暗部ノイズは良く抑えられているが、5×、10×の倍率とともに激しくなる。こういったノイズの性質は実写と同様なのだと思う。
5×以上で夜間の街灯等を観察すると、ライブビュー画像上にゆっくり昇って行くぼけた雲の様な帯が乗る。高コントラストの映像による一種のノイズと思われ、普通の被写体の条件では判らないもの。

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テストは超望遠撮影を前提としており、マニュアルフォーカス撮影。速いシャッタースピードではメカニカル振動が判らなくなるので、ISOを最低の100に落した。少し曇天であったため、Reflex-Nikkor 1000㎜/F11で 露光1/40sec 程となり、テストとしてはちょうど良かった様に思う。

三脚はManfrotto 740 (コンパクト化改造を施したもので興味ある方は三脚改造を参照されたい)を使用。上段の二段のみ伸ばし、雲台 Gitzo G2180 にレンズを固定している。ファインダーや通常ライブビューでの観察では違和感なく安定した操作が出来るが、ライブビュー10×の映像は、三脚固定でも相当に揺れる。フォーカスあわせのためにレンズに触っても、像が移動して大変だ。概して弱い三脚とは思えないが、デジスコ等を扱っている人の苦労が想像される。10×でのフォーカスあわせは精度上好ましいが、慣れが必要だと思われる。フォーカス中にブレるが、レンズ上に手をむしろしっかり預け、調節して離しては確認というやり方になった。こういう困難を一つずつ克服しないと良好な超望遠撮影は望めないだろう。

撮影対象は2~30m程度離れた電柱のガイシ。 野鳥撮影を念頭にしているのでミラーアップ撮影はテストから外した。従って Kiss DN は単純な撮影しか選べない。完璧を期してセルフタイマーでレリーズさせた。7D は同様にセルフタイマーによる単純な撮影と、セルフタイマーによる静音撮影1を行った。風でレンズや三脚が吹かれても微動する様なので、窓ガラスを経て室内から撮影している。

撮影条件は、両者とも ISO 100 1/40sec マニュアル撮影。 比較のために、出力は両方とも3456×2304 Jpeg画質ファインに統一している。

最初の写真は 7D 静音撮影によるが、撮影された全体像確認のためのもので、リサイズしている。
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メカニカル振動によるブレの結果は、数度の撮影の繰り返しで傾向が見えて来た。下の比較写真はクリックで拡大表示されます。
b0174191_1955887.jpg
Kiss DN は若干明るい写真となる傾向だったが、そのまま比較している。全画像の中央部でフォーカスポイントはガイシから出ているコードの根元。フォーカスは、最初に 7D のライブビュー画像10×で調節し、7D静音撮影、7D通常撮影、ボディのみ取り替えてKiss DN通常撮影と行った。ボディを交換してもフォーカスの再調整が不要な事は現在までに確認している。

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予想通り、7Dの静音撮影がメカニカル振動を押さえ込んでいる事が良く判る。予想外だったのは、普通のミラー/シャッター動作では、7Dの方がブレが大きい点だ。シャッターの構造上の差がある様で、天体系でKissが活躍していると聞いた事があるが、こういう点もKissは向いている様です。

今回テストは、メカニカル振動によるブレが意図的に良く出そうな条件で行った。天体等でバルブ~秒となると、ブレている間の露光よりブレが収まってからの露光が長くなり、影響が減ずる傾向があると思われる。一般に1/30sec周辺がシャッターブレが出やすいという風説を聞いた事がある。比較的最近には、測定ツールが出て話題になっている様だ。

一眼レフが抱えるブレ問題  日経エレクトロニクス2009年5月4日号

現在の望遠撮影では、シャッター速度を稼いでブレを抑える傾向が強い。だが、静音撮影を使うと被写体ブレがなければ、シャッター速度を抑える方向に撮影可能な領域を拡げる事が出来る。こういうのが効を奏した撮影もやってみたいものだと思う。

また、後幕も電子的に行えないものかという素朴な疑問がある。露光素子の詳しい事を知らないだけと笑われそうだが、そのうち半導体技術で簡単に実現してしまいそうな気もする。
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by Ataron | 2009-10-25 19:12 | 撮影機材/技術 | Comments(0)

EOS 7D を巡る攻防...高画素論争

2009年 10月 18日
世界的不況を背景にしながらも、EOS 7D を切り札の様に発表したCanon。 元祖EOS発表以来のなみなみならぬ勢いを感じて、カメラマニアや遅れて来た青年達がこぞって「価格.com」掲示板に情報を求めて集まる中、一人のオジサンが満を持して立ち上がった。彼の名はルッキング。

彼は、各所で7Dの画質の悪さを説いてまわる。ネット上の比較記事や実写真を引用しては、それが高画素化の弊害であると力説する。デジイチの高画素化を懸念し、自らCanonユーザーである彼の目的は、他のユーザーに訴えてCanonの姿勢を正そうというものだ。度重なる出没、判りきった高画素否定論。少しも深化しない内容。辟易したCanonユーザーや7Dを購入したばかりの人達から、無視や白眼視が続くのは当然のなりゆき。しばらくは小康状態が続き、いずれは彼が去るかに見えたが、ある夜数人の2chネラー達が登場して掲示板は一気に活気付く。そのスレッドは参戦組を巻き込み、いまだない展開を見せて延々と続くのだった。多くの価格.comウォッチャーは思ったに違いない。...これが2chなのか...
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(悪) 高画素の弊害 7Dは高いレンズ性能を要求される

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7Dの有効情報や、高画素問題に対する信頼しうる情報が一向に提供されず、ネガティブ発言や行儀の悪い言葉、揶揄や揚げ足取りが展開され、口論の面白さにのみ場が推移する中で、苛立っていた人も多いかもしれない。

問題は簡単で、どこまで高画素が必要かという事。既に何年も前から色々な場所で語られて来た話だという。 私にとっては6Mpを超えた時代に、良く耳にしたものだ。

高画素化→画素の狭小ピッチ化→単画素の光量低下により、ノイズ特性やダイナミックレンジを疎外する。とりわけダイナミックレンジ悪化は、本来の受光素子の弱点に影響し画質を低下させるという。当の掲示板の反対論者は高画素化で7Dは画質が犠牲にされたと、この公式の域を出ない。狭小化の製作技術は進むが、この問題に決定的な策のないまま高画素化が進んだが、最近は画質優先とした低めの画素の機種がコンデジを中心に一潮流となり始めている。高画素化追求のみの路線をメーカーが改め始めた今、ユーザーの要望を集めてこれに追い討ちをかけたい人達もいるわけだ。ダイナミックレンジを求める方向は全く良い事だが、画素数は本当にもう充分なのか?

7Dについて、この反対派のひきあいに出すサンプルを見ていると、指摘するほどの問題があるとはだんだん思えなくなって来た。たいていの場合に於いて、7Dの画素数が原因して、他樹種に比較して大きな像が提出されていて、反対論者には他樹種の画像により精細感を感じている様に見受けられる。どこか指摘がおかしいと思いはじめ、7Dのサンプルを縮小して同等の大きさにし、更に色調補正などを施して行くと、優劣など付けるのが困難になって来るのだ。印象を頼りに画質を評価して行くのは難しく、デジタル画像はもとよりどうにでもなってしまうという思いだけが強く残った。

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高画素化の問題については、掲示板の水掛論争を離れて、少し調べて見た。

デジタルカメラの高画素化はどこまで進むのか?

ここでは、かなり詳しい知識が交換されており、かなり有意義な内容だった。これらを読んで、「価格.com」で感じていた批判を含めて整理してみた。

<高画素化(狭ピッチ化)はノイズに不利か>
画素狭小化は、素子単位ではノイズに不利となるが、「周囲の素子から判断してありえない信号値はノイズ」と判断してノイズ値を補正する方式では、狭小化は逆に有利に働く。このバランス上で受光技術が成り立っている。低画素の方が良いとばかり言えない様だ。また、ノイズのソフト処理を一切外した絵を見れないのだが、判断や補正方法の進歩がもりこまれ、相当重要で不可欠なものになっていると想像される。ノイズリダクションの過多は画質を損なうが、ユーザーが理解して自由にその加減を調節可能な状態が望ましいと思う。

<高画素化にレンズは追いついていないか>
細い木の枝を想像すると判り易いが、レンズがその枝の少々ボケた画像しか受光面に結像出来ないとしても、アナログなボケ像には階調がある。このボケ加減をなるべく正確に精細に汲み取る事が、画質に繋がる。たとえ安価なレンズでも、現在の一眼のドットピッチの範囲では、画素数によって画質に違いが出るはず。(この意味での画質差が意識されるかどうかは観察の方法に関係するが)
ローパスフィルターやベイヤー方式の作像技術では、出力される画像の「実効的な画素数」は、出力画素数の1/4程度になるという。 現在のデジタル一眼の画素数は、フイルム粒子の達成していたレベルにやっと届くかどうかの状態と言われている。

掲示板論争の引き合いに出された評論家のレビューに、「約4.3μmという微小な画素ピッチに見合った高解像力なレンズを使用するのが大前提。できればズームよりも単焦点レンズを使いたいくらいだ。」という言い方をしている部分がある。より微小ピッチになれば、より高解像力のレンズが必要という、だれでも思い付きそうな意見。反対論者はもちろん、一般ユーザーにも多分に思い違いを誘う。じゃあ、格段に条件の悪いコンデジの写真は、そんなに酷いものなのかと言いたくなる。

「ドット拡大チェック」している拡大像では、完全に合焦した(レンズの解像度を達成した)像が充分にボケて見えるのが当たり前。結像の解像度、ドットピッチの精細さ、観察の条件による解像感の違いなどを混同している限り、出鱈目な話も真実になってしまう。信頼できそうな先のリンクの内容によると、レンズとフイルムが過去に達成していた系としての解像度に達するには、7Dの18Mpでは未だ足りていないそうだ。(達するのが目標値というわけではないが)

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チープなレンズしか持っていなければ、この7Dを使う意味がない様な考え方は、おそらく間違っているだろう。 現実に7Dを使い始めたユーザーの報告に、並みのズームであっても以前のボディ以上の絵が撮れる印象が報告されている。

簡単な実験をしてみた。
Kiss DNのキット標準ズームレンズの55mm側、F5.6固定。EOS 7D、Kiss DN の双方ともISO200露出オートで撮影して比較。7Dは設定上のノイズリダクション無し、Kiss DNの最高画素(3456×2304)Jpeg画質ファインに統一し、7Dからは同画素Jpeg画質ファインとしたので、18Mpを8Mpサイズに縮小出しとなる。

最初は全体像に対する拡大部分を表したもの。
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この中央部をかなり拡大して比較したものが下。クリックで拡大します。
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基本的には7Dの高画素の縮小効果が差になって表れている。元の画像の半分以下をトリミング使用すれば、一般のモニター全野で観察で、この差が判り始めるだろう。

この様な画素数の差が優位に働く局面は過少評価出来ない。なにも高級レンズでなくとも、7Dの価値は発揮される。もちろん、良いレンズであれば更にと思う。

付け加えて、7D の画素18Mpストレートで撮影した比較部分を掲載します。ノイズ処理等は上に準じてOFFにしています。
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価格.comのこのスレッドは以降11月にも持ち越して続いていた。書き込みの中に興味深いリンクを紹介されている人がいた。補足として追加しておきましょう。

特別講座 05 お笑い技術論



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by Ataron | 2009-10-18 16:32 | 撮影機材/技術 | Comments(2)

小絞り限界 / 回折限界

2009年 10月 12日
超望遠撮影時のミラーショック、シャッターによる振動、マニュアルフォーカスの困難さなどを解決してくれそうなカメラが次々と発表されている。いまの所、Kiss DNを使って来た事もあって、EOS 7D という機種が一番注目対象だ。

この機種選定に先立ち、ネット上で色々と調べていると、「回折限界」というキーワードにでくわした。 レンズ光学としては常識らしいが、私は余り考えた事のない話。しかし、ネット上の掲示板では議論の各所に出て来る。どうもデータや話だけでは実感がないので、自分でテストしてみる事にした。

普通、結像のシャープさを求める場合に絞りを使う。パンフォーカスになり、レンズの収差は改善し、感度に余裕があれば絞りの効用は有り難い。しかし、絞りの径が小さくなるに従い、光の回折によるボケが無視できなくなり、小絞りには限界があるという事になっている。 この実際のところを確認したかったのだ。

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テストに使ったレンズは SIGMA 18-125mm F3.8-5.6 DC OS HSM 、同社のデータから、分解能が良さそうな125mm側でテストする事にした。
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OS(手ブレ補正)、オートフォーカスをOFF、Kiss DNに装着し、三脚、レリーズ、アングルファインダーでマニュアルフォーカスという望遠撮影のスタイルで夕方の遠景を撮影した。
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中央の高圧鉄塔にフォーカスし、ISO100、マニュアル露出で開放F5.6から最小F32まで順に撮影。シャッター速度は1/250から1/10で適正となったが、マニュアルなので速度の中間値の設定がなく、3~4コマで明るさが乱れた。それらは若干ガンマ補正をしている。
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比較画像は、中央の80×60dotを切出し、グラフィックアプリで単純拡大させて並べているので、ピクセル等倍の拡大像の比較と言える。F11はどうもブレているらしくご愛嬌です。比較画像をクリックして本来のサイズで確認ください。ブログ幅にリサイズされたものは、こういう検証に適さない様です。

F5.6からF13の間に関しては、画像中央の収差の少ない部分のせいと思うが、著しい優劣がみいだせない。だが、F14を超えたあたりから次第にぼんやりとコントラストの低い像に変化して、F32では極端となる。これが小絞りボケだろう。

ただ、小絞りボケの影響は、この様な拡大像での印象ほど、撮像全体の印象では感じられない。最悪のF32でも、シャープネスやコントラストを上手に弄れば、全体像上では見分けられないかもと思う。小絞りにする事により、全体像ではパンフォーカスが効いて来るし、おそらく諸収差も抑えられるだろう(その効果自体が減じるわけではないと考えるのだが)。絞りはほどほどにすれば良いという話だ。

ちなみにこのレンズ、F8で非常に優れた写りという風評があるが、中心部に関してはもっと明るい値でもいけてるのを忘れない様にしないと損だろう。

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一方、こういう事が引き合いに出される背景は、どうやら受光素子の高画素化が行き過ぎではないかという議論にあるらしい。かなり良いレンズを持って来ても、その像のシャープさには限界があり、絞っても小絞りボケにつきあたる。そんな結像しか提供出来ない現状で、より画素ピッチの小さな受光素子をEOS 7D は搭載した。 ノイズ性能等を犠牲にして、これは意味が無いのではないかというのが、高画素化反対派の基本論調だ。

コンデジの受光素子から考えると、Canonにとって7Dの受光素子の製作はそう困難では無く、もっと高画素も可能と思われる。商業印刷の写真データとしては、現状のフルサイズ機でも未だ画素数が足りない場合があるという。一方、モニター鑑賞上では高画素化のノイズの方が問題になっている。一般ユーザーにとっては、18Mpという値を生かしきれるレンズがあるかという点は微妙。ただし、結像が幾分ボケているとしても、生の画像にはボケとてアナログのカーブがある。これをより精密になぞっても無意味だと考えがちだが、それは簡単には言えない様に思う。音の分野では、過度に精細な汲み上げの手法(オーバーサンプリング技術)による効果は、当然のものと受け止められている。ところが写真の分野では、こういった発想は余り語られていない。

更なる高素画素化を求めた本当の結果は、実際にカメラが世に出たので、いずれ実感として判断されるだろう。将来のASP-Cカメラの民生需要で占める位置、より高性能なレンズの可能性など、Canonは先の事を考えているのだろう。また、高画素のピクセルを補完させて低画素の絵に出力させる技術(M-RAW等)をちゃんと装備していて、高画素化の弊害を考慮した上での18Mpなのだと判る。

一時期は民生機種で600万画素(6Mp)以上は要らないのではないかと言われた時代があった。しかし、あっというまにそんなの昔の話だ。受光素子のフォーマットの問題には色んな要素が含まれていて、軽薄な知識を元に今の常識を真に受けていても、すぐに覆される様だ。



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by Ataron | 2009-10-12 13:38 | 撮影機材/技術 | Comments(0)

右クリック禁止

2009年 10月 02日
「右クリック禁止」が出来るというブログパーツが提供された様だが、いまいちなものらしい。 詳しくは以下のリンクを参照されたい。

エキサイトブログ向上委員会 
   <10/1追記あり>右クリックを禁止するブログパーツをリリース

向上委員会側から報告されている問題点は、
 ○ブラウザのバージョン、OSとの組み合わせにより右クリックが出来る場合がある
 ○ブログパーツの読み込みが遅いと右クリックが出来る場合がある
 ○画像クリックで元サイズで表示されるが、その際、地図、youtube、ニコニコ動画、
   他のブログパーツ等、前後左右のフラッシュコンテンツが画像より上に表示される
 ○ブラウザより大きな写真は切れて表示される

ユーザー側から報告された問題点をかいつまむと、
 ○禁止を設定した故のメッセージが出ない
 ○ブログ上のネームカードまで出なくなってしまう
 ○サイドバーに貼ったバナー(リンク)が利かなくなる
 ○ブログランキング等のスイッチが無効になる

以上の内容を見ていると、色々と問題の多いパーツに思える。

+

だいたいから、ネットに写真などを公開しておいて利用されるのが嫌だというのも、少し偏狭な気がするが、ネットで名を馳せればそんな事を思うのだろうか? PCやインターネットの発展初期を担った人々の間では、人々が情報を共有することに大きな価値を感じていて、自らの努力の結果を提供するのを誇りとする気運があったのに、そこに人々が築く新しい世界の可能性を感じてすらいたのに、そんな志はとおにすたれてしまった感のある話だ。 なるほど、家電化したPCしか知らずにネットを体験し、通販やオークションや企業宣伝や有料サイトなどが溢れるネットの現状を全てとすれば、そんな気持ちが育つはずもないかもしれないけれど。

「右クリック禁止」にした所で、一旦他のPC上で表現された物は(今の場合は写真映像だが)、たいてい受信側のPC上でファイル化が出来てしまう。写真映像などに到っては誰でも知ってそうなことだが、それを承知でこんなのを提供するのは、ただ抑止効果を考えての事だろうか。「コピーされたくない」と考えるユーザーにとっては、「どうせコピーされるなら、下手な問題を増やすツールを避ける」か「見せかけだが抑止効果を期待して導入する」という選択になるだろう。

+

一方、こういう事に関して気になる事がある。それは、写真の撮影データー(Exif Info)をネットを介して知るのが困難になる問題だ。

例えば、ブログ上で興味深い写真を見つけた時、撮影データをぜひ見たい場合がある。レンズやカメラを購入する際に、選定している機種の特性を推し量るのは、他の人の実例が参考になる。コンデジ等では「メーカーの色」というのが、実際の写真から良く判る事がある。 そういった知識を得たい場合、写真画像に撮影条件を書き添えていてくれれば有り難いが、無い場合はExif Info に頼る事になる。 画像を抽出し、ビュウアーなどで Exif Info を調べれば、なんとか情報を得られる場合があったのだ。 しかし、この様な禁止ツールを導入したブログでは、Htmlからはその路が絶たれてしまう。悲しいかなこのパーツは、画像コピーよりむしろ Exif Info を隠す方に有効そうだ。 Exif Info を秘匿するのも導入目的の一つというなら、目的は達成されたことになるが。

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個人的には Exif Info をどうしても知りたい時があるので、なんとかならないかと調べてみた所、あっけなく簡単なぬけ道が用意されていた。

b0174191_11364977.gif目的となるブログのHtmlではなくXMLを表示させれば、簡単に画像データにアクセス出来てしまったのだ。 Excite のブログでは、一般にメニューの下の方にこのスイッチが用意されているので、「禁止ツール」を導入している方のブログで試せる。(注:自分のページではRSS登録の説明になってしまう) この様なスイッチが無いブログの場合は、HtmlやXMLのソースを表示させアクセスする手間が必要だが、Excite ではずいぶんと簡単だ。これでは「判っている方はどうぞ」という印象で、本当のところは、写真関係では大変フレンドリーなブログシステムであろうとしているのかもしれない。

ウェブ機能にあまり明るくないので、少し勉強のつもりでこれらの機能の意味について調べてみた。ユーザーがブログを投稿をすると、その内容がXML言語とHtml言語と対になって発行される仕組みらしい。これはどうもRSSやATOMという現代的なウェブ機能に関係しているという。既にご存知の方は不要と思うが、興味のある方は以下などを参照されたい。

The Atom Project - RSSの興隆からAtomの誕生

専門的で判りづらい部分もあるが、こういうのを読むと、ネットを公共のものとして育てようという力が働いている感じだ。きれい事だけが全てではないだろうが...

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余り意味の無いせちがらいものが流行ると、せっかくのネットをつまらないものに変えていくのではないだろうか。志が低いと、その分しか世界が見えないもんだと思うしだい。
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by Ataron | 2009-10-02 21:30 | PC環境(ハード/ソフト) | Comments(0)

Kiss Meets The Nayuta

2009年 10月 02日
そもそもこの写真に出合ったのが始まり。
b0174191_23225888.jpg
この写真はCanon EOS Kiss DN の撮影サンプルとして発売当時ネットで公開されていたもので、ダウンロードし約1/3のサイズに縮小している。元画像の精緻さは幾分失われるが、それでもこの写真の素晴らしさを伝えるには充分だ。元画像の撮影データは、レンズ EF 17-40mm F4L USM /17mm F4.0 30sec ISO800 WB/Tungsten / Date 2005/0222/18:52 等となっている。

それまで2Mピクセル程のデジカメを使っていたので、この写真は衝撃的だった。天頂に向かって少しずつ深まる濃紺を背景に、恒星や恐らく銀河までが撮影されている。同時に教会の建物を、まるで映画の擬似夜景の様に細かなところまで捉えている。これが月明かりとすれば、月齢も考慮して撮影していることになる。長時間の露光なのに樹木の葉は殆どゆらぎがない様で、良く見れば低い空に少しだけ雲が流れている。この不思議に落ち着いた美しい夜の空気、なんという撮影だろうと感心した。この写真は天文写真であり、風景写真であり、そしてポエムでもあるのだ。めったにないことだが、こんな写真を自分も撮りたいと思った。

+

画素数に対する欲求はなかったが、レンズ交換が出来、色々な特殊撮影が可能になる一眼デジカメは、いずれは手にしたい到達点と考えていた。当時のコンデジは望遠側も弱いし広角側は更に限界があり、物足りなさにじれていたので、この写真は決心させるに充分だった。まもなくしてKiss DN を買い込んで来た。そして、ひとしきり手持ちの昔のレンズを付けて試してはしていたが、この写真の撮影に準拠した広角レンズが必要と確認して、SIGMA 15mm F2.8 EX を入手した。レンズの種類としては対角線魚眼というものだ。35mmフイルム対角に180度が結像するが、その中央部しか使わないAPS-Cでは24mm相当の単なる広角となる。真似事だが、自分でやってみたいのだからしょうがない。

天体写真には幼い頃に少しながら興味があったので、普通の素のレンズで星を写せるのは知っていた。これに地上の建物を写し入むが、露出がどうなるかはやってみないとわからない。街明かりが邪魔をしない星の良く見える所でないとダメだと、テストなどする前に決めていた。 ある友人に「星の降る街」を撮りたいのだと話すと、その計画に快く乗ってくれた。撮影場所は兵庫県佐用郡にある西はりま天文台と決まった。天文台なら星に困らないだろうという次元の発想だった。 反射鏡を磨いた事があるというワンランク上の天文少年だったその友人も、望遠鏡を作っている内にカメラを弄り始めた私も、実は有名なこの天文台に一度は行ってみたかったのである。

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2005年5月15日(日曜)
高速を乗り継いでこの天文施設に着いた時はまだまだ明るく、他に来訪者らしい人影はみかけない。後の体験会頃には急に人が増えたのだが。
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天文台の周囲には駐車場やレストハウスがあり食事も出来る。花や樹木が植えられた低い丘の頂上に天文台があった。
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奇抜なメインドームは気流を考えた構造らしい。丘の斜面には小型観測施設や装置が並ぶ。
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丘の裾には子供が潜り込める様なオブジェが点在していて、少し浮世離れした演出だ。
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その片隅に無造作に置かれた鉄の巨大な円盤。直径がこの天文台の主鏡「なゆた」の2mに符合するので、鏡の搬送用のカーゴか、あるいは築造時のバラストだったのかもしれない。

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天文台は来訪者に大変オープンな施設で、「なゆた」をはじめ色々な装置を見学させてくれる。それらを見てまわっている内に、いつしか日が暮れて来訪者が集まり出し、観察体験会が始まった。
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ドームが開かれ観察塔の灯が落とされ、だれもがわくわくする。側方の窓は、ドーム周囲の気流に合わせて調節されるらしい。
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幾つもの天体を順にフォーカスしながら、「なゆた」は来訪者それぞれにその生の像を見せてくれた。若い研究員の適切な説明と進行で、参加者達は楽しい時間を過ごす。きっと皆んな、少し興奮した思いで帰宅の途についたに違いない。

ただ、我々は別だった。他の来訪者達に混ざって公園を出てから、少し離れた空き地に車を止めてしばらく時間の経つのを待ったのである。友人はキャンプにも長けていた。少し肌寒い夜気の中、テスト撮影をしている間にキャンプ作法でコーヒーを沸かしてくれた。こういうのは忘れられない。バルブ撮影の秒数を確認した頃には充分時間が経っていたので、いよいよ夜の公園へと向かった。

車で公園入口まで戻り、閉じられた門からは機材を持って徒歩で侵入した。実際はとがめられる事はなさそうにも思えたが、やはり侵入には違い無い。昼間に天文台の南裾の納屋風の建物を撮影ポイントに決めていた。三角の屋根が良さそうだったからで、迷わずに直行した。天文台の施設には一部灯りが点っていて人の気配があったが、三脚を据えて撮影している内に、だんだん気にならなくなった。

暗い空を相手にフォーカスが取りづらく、マグニファイアーは着けたままだった。絞りは開放より1~2ステッブだけ絞る。カメラの液晶では結果の判断が困難なので、シーンごとに撮影時間を増減した撮影を行った。次第に要領がつかめて来た頃には、月が西に沈んだ。その後も撮り続け、最後の方では欲が出て、建物をライトで照らす事を試した。友人が携帯カンデラを持っていたので、高い所から数秒だけ照らし(照射時間は手さぐり)その後は追い露光で星を撮影した。 2人が静まりかえった公園を後にしたのは深夜を過ぎてからだった。

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この夜の撮影で一番気に入ったショット。クリックで拡大表示されます。屋根の形や、月明かりに淡く照らされた道が良い。左手の林の向こうが明るいのは街の灯らしい。空の色を出すために、カラーバランス、ガンマ、コントラストは大いに調整している。縞ノイズが出る寸前まで明るくしているが、もう少し露光すれば良かったのかもしれない。
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SIGMA 15mm F2.8 EX / 15mm F4.0 30sec ISO1600 WB/Tungsten

次のは、月明かりが無くなり、カンデラ照明を入れて撮影したもの。蛍光管で建物がピンク色に発色したので、照明効果の少ないショットしか使えなかった。色温度の高いものだったら、もっと建物のディテールを出せたと思う。やはり空にノイズが出る寸前まで明るく画像調整している。
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SIGMA 15mm F2.8 EX / 15mm F4.0 30sec ISO800 WB/Tungsten

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この撮影をしたのは2005年5月だ。その後も「星の降る街」を求めて撮影に出かけたりしていたが、暫くして熱はしだいに冷め、教会の写真は頭の片隅にしまいこんでいた。しかし、ほぼ2年が経った2007年に、偶然にある方のプログの旅行写真にこの建物を見つけた。場所はニュージーランド、テカポ湖だった。無断で申しわけないが、説明の為に写真を利用させて戴いた。
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どうやら湖畔の絶景のスポットで、教会は「善き羊飼いの教会」と呼ばれているそうだ。Kiss DN のサンプルは湖岸側、おそらく南側から撮影されている。教会の名で検索すると大変有名だと判るだろう。1935年に開拓民によって建てられた石造りの小さな教会で、聖書に出てくる『善き羊飼い』にちなみ名が付けられたそうだ。 こんな素敵な所があるのだね。

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撮影の手助けをしてくれた友人、教会の旅行写真を公開された方、ありがとう。
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by Ataron | 2009-10-02 14:40 | 単なる写真 | Comments(0)