人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Studio TA Subsite の案内とお知らせ

ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造

2014年 06月 21日
EOS 7D用に使用しているリモートレリーズは、エツミ製の「電子リモートスイッチ RM-L1-C3」というもので 2009年に購入したものです。

望遠撮影用としては適当な長さのコードなのですが、今回はもっと長いコードが必要になりました。 短いまま使いたい場合がメインなので、間にコネクターを入れて延長コードを追加する改造はコネクターが邪魔になりそう。

そこで、このレリーズに着いている「謎のミニジャック」を使えないかと考えました。 余っているKiss用のリモコンはこのジャックに適合する2.5mm 3Pin で、いかにも他リモコンやインターバルタイマー等を繋いでくれといわんばかりのジャックです。 このジャックに長いコードのリモコンを繋ぎこんで動作できれば、いままで通りの使用も出来て、今回の目的を達します。



しかしこのジャック、購入当初に試したのですが、Kiss用のリモコンを繋いでも全く動作しません。 着いている意味が不明の謎のジャックとなっていました。 今回の目的で調べていると、やはり全く同様の疑問を持った方がいました。
EOS Kiss X2 用リモートスイッチを EOS 7D で使う

結局このジャック周りの情報はそれ以上見つからず、今回の目的のために本気で回路を調べてみることに。
ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造_b0174191_20070444.jpg
右下端の黒いのが2.5mmジャックです。 中央の四角いスイッチはバルブ用のスライドスイッチ、その右の丸いのがレリーズボタンで押し込まれる2段動作のタクトスイッチです。 左下端の白いコネクタから3本の線が出て、これは直接リモコンコードに繋がっています。
ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造_b0174191_20113204.jpg
上図は説明を入れたもので、黄色で囲った2個のダイオード、更に青で囲った2個のダイオードがあり、これがこの回路のミソでした。



下図は、このリモートレリーズ回路を接続させた時の簡略図です。
コードの線色は、シャッター(RED)、AF/測光(WHITE)、Ground(BLACK)です。
ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造_b0174191_20142749.png
上側は標準的に7Dなどに繋いだ状態で、BLACKの線は0v、ダイオードの手前でWHITEとREDの線は約3.27v でした。 WHITEとREDの電位はリモコンのスイッチを押すと、半押し、全押しで、順に約0.47vとなり、要するにダイオードを介して接地させる簡単な回路に他なりません。

で、下側のジャックの回路はダイオードの方向が上側と同じでした。 もし他のカメラ(Cam2としています)を上図の様に接続すれば、ひとつのボタンで同時に操作できることになります。 Cam2がKissなら、3Pinのオス/オスのコードを使えば良いわけです。 このジャック、むしろそういう特殊な同時操作でなく、このレリーズをKiss用などに流用するのが一般的な用途でしょう。

これらのダイオード、カメラを単体で繋ぐだけなら不要と思えます。 ただ、上図の様な2台同時とか、他の機器を同時に繋いだ際に、それぞれの回路電圧が異なることは普通に考えられます。 これらのダイオードは、電圧の低い側のカメラのWHITEとREDに、高い側から電流が流入し、誤動作や損傷を生じるのを防ぐ目的と思われます。



このダイオードの向きを考えると、Kiss用のリモコンを繋いでも動作しない理由が理解できますね。 2.5mmジャック側のダイオードの向きが反対なら動作するはずです。
しかし、下側2個のダイオードの向きを変えれば、このジャック経由で他のカメラを動作させることは出来なくなります。

ということで、私は下側のダイオード2個を省いて直結させる改造をしました。
この場合は、
➀ このジャックに他のレリーズ(2.5mm系)を接続して、他レリーズで7D等を操作できます。 7Dに対しての保護ダイオードは有効なままです。
② このジャックに2.5mmオス/オスのコードを繋いで、このレリーズをKiss用レリーズとして利用出来ます。 保護ダイオードはないので、カメラの同時使用は避けるべきでしょう。
③ このジャックに、2.5mmオス/その他の規格のコネクタのコードを作るなどして、汎用のレリーズとして利用できるでしょう。 保護ダイオードは無効です。



実際の改造は、ダイオードを外すのではなく、ダイオードの両端子をショートさせました。 ショートのジャンパーを切断すれば、元の回路に復帰も可能で、ベストな方法と思います。

上側の2個(前説明写真の青い囲みのある方)にジャンパーを半田付けしたところです。 ずいぶん細かい半田付け作業です。
ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造_b0174191_21053097.jpg
これで目的通りに、2連のレリーズ接続が出来る様になりました。
ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造_b0174191_21111070.jpg
私の今の目的は、もっと長いコードが必要なので、Kiss用(右)のコードの延長をする予定です。 Kissの方のコード、短く改造していなければ良かったのにね ^^;



早速、Kiss用のリモコン「リモートスイッチRS-60E3」を再改造しました。
こちらは Canon純正品ですが、コードの線色がシャッター(WHITE)、AF/ 測光(RED)、Ground(銅シールド)となっていました。 上記のエツミ製と赤・白の選択が違っています。
ロットに拠って線色が異なる可能性もあり得るので、下図はジャックと配線先を示しています。
ETSUMI製 キヤノンN3 リモコン(RM-L1-C3)の解析と改造_b0174191_01160257.jpg
2.5mm3Pinのジャック付きのコードを探すと、手持ちにイヤホーン用の1m程のものがあったので、とりあえずそれに交換しました。 必要ならもっと長いコードがネットでいくらでも入手可能でしょう。



記事を見直していて、面白いことに気付きました。
エツミ製のリモコンの回路基板、コードコネクタの下に見覚えのある「Ownuser」の印刷があります。 このメーカー、各社対応のカメラ周辺機器を作っているサードパーティメーカーです。 エツミ製といっても、実際はこの輸入品ですね。 私は、何か面白いもの作ってないかと、時々このメーカーのサイトを見に行きます。
Ownuser萬菱電訊
このメーカーは「安く、純正にないユーザーフレンドリーな拡張性」を売りにしている様子。 このジャックの存在、なるほどOwnuserならではと納得します。 このサイトにリモコンが出てこないけれど、しっかり日本中に、いや世界中に製品を送り込んでいるのですね。



# by Ataron | 2014-06-21 21:24 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)