ゴムと塩化ビニールの接着に関し、少しテストをしてみた。
接着剤はボンドSUとボンドG17、いずれも定評のあるものだ。
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最初、ゴムシートとエンビ材の表面は、接着剤塗布前にアルコールで清掃するだけで、ボンドSUの説明書に従い、塗布後に殆ど時間をおかず貼り合わせた。圧力をかけずに一日以上置いた後、ゴムを引っ張ってみると、少し抵抗があったものの簡単に剥がれてしまい愕然とした。
写真のA1が剥がれたゴムシート面、A2がエンビ材の面だ。A2のエンビ材側には接着剤が固着し、殆どこちら側に残っている。ボンドSUとエンビ材との親和性は良いわけだ。塗布後すぐにゴムとエンビ材で空気と遮断されるが、塗布時に空気に触れた時間で、充分に固化の条件は満たされたと受け取れる。剥がれた理由は、ゴムシートにボンドSUが親和しなかったからだ。
ボンドSUは天然ゴムに不適当とは書いておらず、ゴムシート面に何らかの表面処理剤が残っていた事も考えられる。が、とにかく接着面の滑らかさをなくす必要があると考え、表面のつやが無くなるまでサンドペーパーで前処理することにした。
二度目のテストは、ゴムシート面はペーパーがけをし、エンビ材は前と同じでアルコール清掃した後、ボンドSUを塗布後に三十秒程間を置いて(ボンドG17の要領)から貼り合わせた。全く同じ要領で、ボンドG17も同時にテストした。
一日置いてボンドSUの接着面を無理に開いたのが上の写真の中央B1、B2で、まだ最後まで剥がしていない。ボンドG17は右のC1、C2で、これも剥がしている途中だ。今度は剥がすのにかなり抵抗があり、一応実用強度といえる。伝えられる通り、ボンドSUの方が若干勝っているが、G17も充分にいける。アナログな表現だが、G17は普通に使えたと言えば想像できるだろう。
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下の写真は、引き剥がし終えたところ。両者とも完全に剥がすと、ゴム面が剥離してエンビ材に残る程に強固に接着している部分がある。
エンビ材の表面も接着前にペーパーがけしてやれば、更に強力な接着が望めそうだ。ボンドSUのB1は、引き剥がす際にゴムが裂けてしまっている。
結論として、ゴムシートとエンビ材の接着する際は、
①表面を荒らす前処理(これは油脂分の清掃にもなるはず)
②接着後の適度な加圧
などがテクニック上で大事と言えるだろう。
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参考までに、みごとな失敗例を。以下は、ゴムも樹脂面も接着面の前処理をしていなかったために、ボンドSUが効果を全く発揮できなかったもの。ゴムが剥がれた後に、寒天状になった接着剤がみんな残っている。
下は、この接着剤の残渣を削ぎ落としている所。樹脂側はある程度親和している。