EOS 7D を屋内作業で使用していて、ACアダプター駆動の必要を痛感しました。 複写でセッティングした配置を、バッテリー交換のためにやりなおす事が再三あったからです。 専用のACアダプターキット ACK-E6 は¥9000 程度、DCカプラー部分のみは DR-E6 として ¥4000 弱で販売されています。
AC電源部分の価格が ¥5000 というのは高いと思う人は多いでしょう。 電源部やカプラーも自作してしまいたくなる価格ですが、劣化して使えなくなったバッテリーもまだ無いので、DCカプラーのみを購入しました。
〔追記〕私は7Dの電源状況による動作等を詳しく知り、納得出来る電源環境を求めた結果、結局サードパーティ製のAC電源ユニットを購入しました。 こんな事をするなら、上記のACK-E6を購入した方が確実で無駄がありません。 結局、これらの純正ユニットは結構リーズナブルな価格と言えそうです。 自作するのは、ある程度の技能と、条件を満たすAC電源が既にある事が条件だと思います。 それでも私は自ら確かめてみたくなるのを止められなかったのですが。
DCカプラーと純正バッテリーを見比べると、電気端子に違いがあります。
左はバッテリーです。中央の「G」(電源-側)と「V+」(電源+側)以外に、「T」「C」の端子があります。 充電器はこれらの4端子に対応した接点がありますが、カメラ側は「T」に対応した接点がありません。 ネットで調べると、「C」は共用端子で、これと「T」端子で充電時のセル温度を充電器側が管理するらしく、カメラ側に「T」接点が無いのは合点がゆきます。 カメラ側の共用端子「C」に対応する接点は、「C」端子からバッテリー残量を読むためのものと想像しますが、確かな資料は見つかりませんでした。
右はDCカプラーの端子で、「G」「V+」「C」は同じですが、「D」が余分です。 EOS 7D 側には対応する接点がなく、無視して考えればよいと思いますが、他の機種「5DMk2」「EOS 60D」などでは何かに使っているのでしょうか?
Canon他機種用DCカプラーの記事を見ると、内部にコンデンサーとコイルがあり、ノイズフィルターを構成している様です。また、カメラ側のバッテリー残量測定に対応していそうです。
とにかくこれらの理解から、DCカプラーから出ているコードを適当な電源アダプターに繋げば問題はないと判断しました。
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そこで、どんな電圧や容量の電源アダプター(ACアダブター)が適当かということが問題になります。 ネットにあった情報のリンクを下に列記します。
大容量外付けバッテリー自作してみましたACアダプター接続の電源カプラーについてRICOH R8 用 AC アダプタの定格出力以上の情報を吟味して、この段階では「DC7.2V 3.6A 」程度の容量があるACアダプターが適当と予測しました。 以下のテスト結果も含めての考えですが、純正ACアダプターは「DC8.0V 3.0A 」の容量で、(5D2と7Dの動作時電流が同等として)実使用時の負荷で電圧降下し「7.4V」程度で動作していると考えられます。
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電圧降下の程度は理屈より実験した方が確かです。
カプラーの電源コネクターを切断し、手元にあった複数のACアダプターを仮配線して繋いでみました。 出力電圧の高過ぎるものは避けましたが、出力が低過ぎた場合はファインダー内の透過液晶がくすんだままで、電池を入れない状態と同じになりました。 結果として使えたものは2つあり、どちらのACアダプターも問題なく動作できる様です。
左は電子楽器用のKORG社製のもので 「DC7.5V 1.5A 」、右はCHINON(ヤシカ)製の旧いデジカメ用で 「DC7.0V 1.4A 」の出力表示でした。 そう変わらない容量なのに、ずいぶんと大きさが異なります。
この2つのACアダプターに関して、下の要領で動作時の電圧降下を調べました。
測定の条件は、
〔接続前〕 DCカプラーをカメラに接続する前で、ほぼ無負荷の出力状態と考えて良いでしょう。
〔一枚撮影〕 DCカプラーを使用し、単写して計測値を撮影。
〔高速連続撮影〕 DCカプラーを使用し、高速連写を数秒して計測値の最も降下した所の撮影。
結果として、、下はこれをグラフ化して判り易くしたものです。
KORGは無負荷でずいぶん高い電圧が出力されていますが、負荷がかかると大きく落込みます。 これに対しCHINONは、無負荷で表記に近い出力で、負荷がかかってもよく耐えています。 上記のネット情報で 「7.2V以下では動作しない」と書かれた伝聞がありましたが、ACアダプターの特性(実効的な容量)も考慮すべきでしょう。 CHINONとKORGはかなり違う組成のアダプターに思えます。 CANON純正品のデータを予想して書き込んでみましたが、落込みは少ないものでしょう。
カメラ内部の回路は、電源部の入り口で、カプラーやバッテリーからの電源を処理する関門を構成していると考えられます。 その関門の機能として、与えられた電源電圧が高い場合はカメラに必要な電圧に落とし、動作に満たない場合はカメラの回路を電源から遮断する様です。 ACアダプターを選択するにあたり、注意すべき点は、以下と考えます。
① 供給電圧が高すぎないこと。 関門の定電圧回路の発熱負担を範囲内にしないと、劣化や破損を招く。
② 供給電圧の動作時の降下が少ないこと。 一定の閾値以下に落ちると、カメラは電源なしの状態に突然なり停止してしまう。
①の点で、KORGは少し不安があります。 この様な電圧降下幅の大きいACアダプターはよくみかけますが、撮影動作のない状態で9Vというのは不安材料です。 間にDC-DCの安定化回路を入れてやれば安心出来ますが、そんなことなら純正アダプターにしとけばという事になります。
CHINONは良好な特性ですが、容量が純正の3Aの半分というのは不適当かもしれません。 ②の容量不足が生じないか色々テストしてみたのですが、異常は見当たりませんでした。 内臓ストロボの充電時間など、微妙な部分で影響はあるのかもしれません。
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実測テストで、ネットの情報が少し補完されました。 CHINONのアダプターを使用して充分かもしれませんが、もう少しテストを詰めたいと考え、日本トラストテクノロジー製の
マルチACアダプター21W WS-1218を取寄せ中です。
「DC7.5V 2.0A 」の出力が採れるのでこのアダプターを選んだのですが、実際の性能はテストしてみないと判りません。 純正品を買えばこういう事と無縁でしょうが、より7Dに詳しくなれる事は有効です。
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上記内容を参考にされるのはおおいに結構ですが、精密機器の電源に関してですから、あくまでも自己責任という事をご理解ください。
マルチACアダプター21W WS-1218 のテスト結果は
EOS 7D ACアダプター/DCカプラー 自作資料(2) を参照ください。