たまたまFMで「Luka」を聞いて歌詞が気になって調べたところ、最初に和訳で検索ヒットしたのが「peacism84」さんという方のブログの
「Lukaを訳してみる」というページ。 この曲に関して思い入れがありそうで、なるほど歌詞の2番の「you」は扱いが難しい。 基本的には「少年ルカの語り」という詞ですが、ここだけ急に「聞き手」であるはずの「you」が虐待の対象として書かれているからです。
コメントの方の情報に興味深い意見がありました。
They only hit until you cry の"you"ですが、やはりLuka自身のことを指しているようです。youには非標準的ながら自分のことを指す用法があるそうで、自分のことだけど、そうだと認めたくない時に使うらしいです(日本語でも「おい、人の携帯を勝手に見るなよ」という時の「人」が自分を指すように)。
「両親はわたしが泣くまで叩き続けるんだ。その後は、どうして叩くのって聞かなくなる。わたしはもう口答えしなくなる」
それと、I walked into the door again は「またドアに足をぶつけたんだ」という意味です。親から虐待されているのを隠しているわけです。
(中略)
これは私独自の解釈という訳ではなく、実は以前あるラジオ番組でネイティヴの方がこの歌の解説をしていたのです。
(以上、コメント一部を引用)
私は、「語り文」で普通は訳に入れない「君」を、入れたら通りが良いかなと感じました。
泣くまでただ叩くだけ、そしたら君は理由を聞けないでしょ
そしてもう口応えなんかしないでしょ
「状況を判って欲しくて、聞き手を自分と置き換えた話し方をする」というのはありそうです。 上はそんな訳です。
先の引用にある非標準的な「you」の扱い、私は始めて知りました。 なるほどこの詞の背景に一致しています。 英文の他の例が無く、ネイティブな人の感覚がもうひとつ判りません。 人ごとの様に話すという感じでしょうか?
泣くまでただ叩くだけ、終わったら何も聞かないし
そしてもう口応えなど しはしない
こんな感じ? 言葉少なく翳りを紡ぐのは、難しいですね。
+
細かいことですが、問題の部分の歌詞、やはり少しバリエーションがあります。 多分一番多く流布している歌詞は、
They only hit until you cry
And after that you don't ask why
とされている様です。 これはジャケットか何かに使われているらしい、Suzanne Vega の自筆の原詞らしい
^^;画像があり(
ここに映像があります)、他のジャケット等に印刷された歌詞とも符合する様です。
YouTube に昔に観た記憶があるプロモがありました。
問題の2番のところ、私はどう聞いても
Only hit till you cry
After that you don't ask why
と聞こえます。 「They」「And」を省略して「until」は「till」(多分口語的)にしている様に聞こえるわけです。 このプロモは最終版の録音あたりから逆に作ったものでしょうが、ここの画像(1:15')の方は口元は「They only hit」と言ってる様に見えます。
そんな事を細かに調べていると、後の方でもう一度この歌詞が繰り返しになりますが、直前に極小さく「Ask me」が聞こえます。 (上のプロモでは2:59'の所)
(Ask me) Only hit till you cry
After that you don't ask why
聞こえませんか? ようく聞いてください。
これに気付いて調べると、幾つかの箇所でこの「サブリミナル的な録音」が入ってます。 単なる効果音(デレイ効果)の結果とは思えず、これはルカの心の二重性を表したかったのではと考えてます。
(注: YouTubeで同じところを何度も観たい時は「←」キーが有効です。 マウスを使うとフリーズし易いと、最近気付きました。 ブラウザなど環境で違うかもしれませんが。)
まあ、原詞は先の映像の通りで、録音時に少し手直ししたと考えるのが妥当そうです。
調べてると、こんな面白いテイクがありました。 「The Old Grey Whistle Test」というアーティスト登竜門として有名な英BBC番組での86年の映像らしい。
ここでは、
And only hit until you cry
And after that you don't ask why
と謳ってられる様子
^^; あはは、もう細かいところを突っ込んでも仕方ありませんね。 緊張した様な表情がいいですね。