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7D は今なお野鳥撮影のベストマシーン

2013年 06月 06日
EOS 7D は発売されて長く、デジタルカメラのスパンとしては更新があってもおかしくない機種です。 その後に発売されたCanon機種では、7Dにない新たな技術進歩を装備している物も少なくないのですが、それらをしても 7Dをいまだ超えていない点がひとつあります。

それは、ファインダー像の大きさです。 1D系のフルサイズ機をもってきても、60D~70Dなどを持って来ても、一定の距離の先にいる野鳥を同じ望遠レンズでファインダーに捉えた場合、ファインダー内の野鳥が最も大きく見えるのが7Dなのです。(※1)

「フルサイズをクロップしたのがAPS-Cで、APS-Cの35mm換算1.6倍はレンズの望遠能力が増えるわけではなく、撮影後にクロップしたら同じ」と、APS-Cが望遠撮影に適している事を否定するフルサイズ至上主義の様な意見を時々見ます。  しかし、これは野鳥撮影をした事のない人に違いありません。

この意見、撮影画像の内容としては正しく、もし撮像素子のピクセル単位大きさが同じなら、フルサイズもAPS-Cも鳥影の質は余り変わらないでしょう。 フルサイズは野鳥の周囲がより広く撮れる程度の差です。 しかし、ファインダー内の野鳥はAPS-Cの方がずいぶん大きく見えます。 そして、APS-C機の中で 7Dのファインダー倍率は最も優れています。(※2) 当たり前ですが、遠くて小さな野鳥になるほど、撮影時のファインダー内の像の大きさは重要になります。 中央一点のフォーカスを野鳥にポイントするのに、多くの野鳥撮影家はどれほど集中していることでしょう。

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ちなみに、フルサイズセンサーのEOS 5D が手元にあるので「ファインダー像の実際の大きさ」を7Dと比較してみました。
EOS 5D 受像素子:フルサイズ ファインダー倍率:0.71倍
EOS 7D 受像素子:APS-C    ファインダー倍率:1.00倍

18-125mmのズームレンズを5Dに付け右眼で室内の壁面のボードをファインダー経由で覗き、左眼でボードを直視、ズーム調節して両方が等しく見える焦点距離を調べたところ、約70mmという結果でした。
そのズーム位置のまま、7Dにレンズを移して同様にボートを覗くと、左眼の直視像の1.5倍ほどファインダー内のボードは拡大されて見えます。
更にズームを調整して、7Dで左右両方の像が等しく見えるのは約50mmの焦点距離で、これは7Dの公称の通りです。

どうやら、同条件(等距離・同レンズ)の被写体のファインダー像の大きさを比較する場合は、簡単にそのファインダー倍率を比較すれば良い様です。 計算で割り出すと、7Dは5Dの 1.4倍 (1/0.71倍) 大きく見えるという事になります。

この結果から考えて、EOS EOS1D Mark IV でもファインダー倍率は0.76倍ですから、7Dのファインダー像が圧倒的に大きいということは間違いありません。 (ファインダー視野が広いという意味ではありません)

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もっとも、7Dのファインダーはマニュアルフォーカスに向いていません。 液晶をピント面近くに配置していて、そちらをフォーカス面と見間違い易く、マニュアルフォーカスし難いタイプです。 優れたオートフォーカス機能を優先し、マニュアルフォーカスをニの次以下に置いた設計は、少し残念です。 まあ、現代の高画素センサーに見合った精密なマニュアルフォーカスは、マグニファイアぬきで不可能と判断した様にも思えます。

私は、野鳥のマニュアルフォーカスでの撮影のために、L型のマグニファイアを導入しましたが、手持ち撮影ではマグニファイアは扱えるものではありません。 また三脚使用の場合でも、レンズ方向と視線方向が異なるのは、野鳥を追う上で大変に難儀です。(※3)

EOS 7D MarkⅡ のうわさが時折出て来ますが、ファインダー内組み込みのマグニファイアを装備した野鳥専用機なんて、だれも言い出しませんね。 ファインダーの中央部だけでも拡大して見せてくれたら、マニュアルフォーカスに充分なんですけど。

注釈)
(※1)
ただし、これはOVF機に限っての話で、EVFは拡大機能が柔軟に使えます。 マイクロフォーサーズは野鳥撮影機として、実にうまい位置に居るんだけどね。 レンズ出してよ ^^;
(※2)
高いファインダー倍率を得るには、大型ダハプリズム、優れた接眼ルーペが必要です。 特殊用途機としてOVF部のサイズを大きくした野鳥(望遠)撮影専用機があれば、素晴らしいでしょう。
(※3)
L型(アングル型)ではなく直視型マグニファイアを使う方もいる様です。 後方に飛出しますが、三脚使用ならマニュアルフォーカスの野鳥撮影に最も適したものと思います。



by Ataron | 2013-06-06 20:51 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)
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