Studio TA Subsite の案内とお知らせ

Canon EF24-85mm F3.5-4.5 USM 前玉の分解清掃

2015年 10月 24日
EOS5D用の標準ズームとして EF24-85mm F3.5-4.5 USM(中古)をオークションで入手しました。 中クラス品で価格は 8000円 程度。 AFや絞り機能は良い状態ですが、出品側の申告通りで前玉に小さな曇りがありました。 下がその状況です。
b0174191_03453347.jpg
Aを拡大して調べるとカビと判りました。 また Bにも小さな曇りがあります。 撮影に影響がなさそうですが、最善を尽くして前玉の分解清掃を試みました。

+

このランクのレンズは、前玉レンズ周囲のレンズ銘板が両面テープで貼られている事が多い様で、このレンズもそのタイプです。 この銘板を剥がし易くするために、銘板の1ヶ所に切り欠きが付いています。(上の写真のC) 周囲を傷付けない様にしながら、ツマヨウジか細いマイナスドライバーなどをここに斜めに差込んで、銘板を剥がす起点にします。
b0174191_03453324.jpg
①ツマヨウジを差込んで少し浮いたので、後はマイナスドライバーでこじ開けて行きました。 銘板は薄めのプラスチックです。 両面テープが適度な粘着力を保っていたので、上手く剥がせてそのまま再利用が出来ました。 粘着力が無い場合は、銘板の裏を清掃して新しい両面テープを使う必要があります。

銘板を剥がした状態です。 3ヶ所で前玉枠を固定するネジDが露出します。 これを外す前に、本体側と前玉枠との位置関係(回転向き)、前玉枠のどこにネジが当っているか、本体側のどこの穴にネジが入っているか、を確認しておきます。 回転向きが元とズレても問題ない様にも思えますが、念のためです。(後で元位置が判る様に、小さなシールやカラー筆等で印を付けると確実です)

③ネジDを外し、軟らかい布などで受けて本体を逆さにすると前玉枠(前玉と前玉枠は一体)が落ちて取れます。 Eの場所にネジの頭がありました。

前玉枠が外れた本体側です。 Fの穴にネジが入っていました。 他の穴はネジ穴がなめた時の予備でしょうか? 前玉は納まればよく、それ以上の精度は求められていない様な気もします。

前玉(前群のレンズ)は一体で前玉枠に納まっていて、これを分解するのは困難そうです。 このレンズの場合は、空気に触れる裏面のカビでしたが、そういう所に生じる場合が殆どでしょう。 上記の分解では、前玉裏面と中玉の最前面が清掃可能です。

前玉裏面をエチルアルコールで清掃すると、Aは半分以下の直径の薄いコーティング禿げの様なものになり、Bは殆ど判らなくなりました。 後は、チリを落として組んで戻しました。 下は Aの清掃後で、撮影するのが困難な位に改善しています。
b0174191_03453327.jpg
+

前玉の取外し清掃は、以上の様にそう難しくはありませんでした。 しかし、入手したレンズは鏡筒が少しグラグラしていて、ズーム機構のネジ緩みが疑われました。 これをチェックするために、更に分解をしました。
b0174191_11261065.jpg
前玉枠を外した状態で、新たに3ヶ所のネジGが露出しています。 繰出し最先部前玉枠が固定されていた部分)はこのネジで本体側の繰出し軸に固定されています。 このネジGを外して繰出し最先部を外します。

⑥レンズ本体のズーム環のラバーRを、前方にずらしたところです。 下に1ヵ所だけネジHがあり、これを緩めて抜きとります。
b0174191_09342288.jpg
繰出し基部はラバーを取り去ったズーム環で、繰出し中間部とともに繰出し軸をカバーする部品です。 繰出し基部繰出し中間部は、組み合ったまま外れます。 上図の様に、先ず(1)の向きに60度ほど回転してから(2)の向きに引くと、レンズ本体側から分離することが出来るのです。 H"はネジHが繰出し基部を固定する雌ネジ部分です。
b0174191_01033214.jpg
⑧裸になったズーム機構はH"部を直接廻すことで操作出来ます。 繰出し軸を最も繰出した状態にすると、その根元に繰出し軸を固定しているネジJ(3ヶ所)が露出します。
このネジが僅かに緩んでいて、レンズの先(繰出し軸繰出し最先部)のぐらつきを招いていることが判りました。 強めに増し締めするとぐらつきが改善しましたが、ズーム機構に元々遊びがある様で、ぐらつきは少し残りました。
こういう構造のレンズは、望遠側にズームした状態でレンズ先に強い力をかける操作は、用心した方が良さそうです。

⑨反対側のネジJの様子です。 手前側近にズーム値のセンサーがあります。

b0174191_01040167.jpg
繰出し基部繰出し中間部を元に戻す時の位置合わせのポイントです。 繰出し中間部の幅のある切り欠き(右の赤枠)と、繰出し基部のネジHの穴(左赤枠)の位置関係に注意します。 この状態で、レンズ本体に⑦と反対の操作で嵌めます。

繰出し最先部を元に戻す時の位置合わせのポイントです。 繰出し軸の大きな切り欠き部と繰出し最先部の切り欠き部が、一致するのが正しい位置です。 繰出し中間部の3ヶ所のラセン溝に、繰出し最先部の根元の3ヶ所のタブを嵌めますが、正しい組み合わせでないと切り欠きが一致しません。

ここより後は、①~④の作業を逆に組んで終了です。



これ以外の中玉、ズーム機構、絞りに等にアプローチする場合は、マウント側から分解する必要がありそうです。
次の動画は、AF-S Nikkor 24-85mm の分解の様子です。 細部が異なる様ですが、構造は大変に良く似ていて、参考になります。

 AF-S Nikkor 24-85 ぐらつく前群とピントリングのべたつき

マウント部からの分解をする場合は、回転部と本体を電気的に接続する電気シューを外してから分解する手順が注意点の様です。 電子回路のフレキ外しも必要そうです。

下のリンク先に Canonズームレンズのマウント側からの分解に関する情報があります。

 「EF28-135mm F3.5-5.6 IS USM」分解カビ取り /価格.com クチコミ掲示板

後方側からの分解清掃は難度が高そうですが、気になるのは光軸調整の問題です。 分解する部分が、光軸の狂いにかかわるか否かを判断しながら、作業を進めるのは基本です。
光軸にかかわる部分に手を入れる場合は、分解前に均一な遠景の撮影をして基準像を得ておく、分解時にレンズ構造の光軸調整ポイントと状態を確認記録する、調整部(ワッシャーや部品向きなど)を必ず元通り組直す、基準像と同等の撮影をして周辺部のボケ具合などを確認、という程度の注意を払えば、乗り越えられるのではないでしょうか。 元から狂いがある場合の修復は困難でしょうが。

レンズ広角端の開放絞りの遠景画像を厳密にチェックすると、新品購入のレンズであっても、大抵と言って良い位にボケ方や色収差が左右で差があるのに気付きます。 大変に高価なレンズのことは知りませんが、ここで扱っているランクのレンズでは製品としての「許容誤差」でしょう。 光軸調整にかかわる部分を分解する場合は、そのあたりの実情を判った上で、分解清掃を行うのが適当かどうか判断すると良いでしょう。



このレンズのレンズ構成は12群15枚(5レンズセット)です。 下はMTFとレンズ構成の簡略図です。
b0174191_09234899.png
銀塩APSカメラの標準セットレンズとして発売されたもので、MTF特性で画像周辺部の乱れは、ある程度了解済みかな。 しかし、実際に撮影してみるとフルサイズでも広角時の歪曲と周辺減光が気になる程度で、思った以上に色収差が少なく、良く撮れるレンズです。 明るい光源が直接入るとフレアーが強いかな?と思いましたが、上記の歪曲・減光・色収差などはその気ならデジタル処理で改善できます。 EOS6Dなど最近のボディでは、純正の強みでレンズ補正を自動処理化でき、大変にコストパーの良い標準レンズになります。

実際の写りは、広角端の実写テスト中央部 解像度のテストを参考にしてください。




[PR]
by Ataron | 2015-10-24 05:02 | 撮影機材/技術 | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。