過去のフイルム整理に開けくれる毎日。 カラーリバーサルやカラープリントの処理が一段落してほっとしていたが、別の箱を開けるとどっさりとモノクロームのネガが出て来ました。 若い頃は経済的な理由も手伝いモノクロを多く撮影していたのですが、その量は思っていた以上にありました。
ラフな撮影も多くて、ベタ焼きのまま気が乗らないで放置したり、何で撮ったのかすら覚えていないカットも沢山あります。 写真は撮影データが大事だと、入門書に書いてあったもんです。 EXIFの様な便利なものが無い時代、丁寧にメモした人もいたでしょう。 私も一時期は試みましたが、結局は三日ぼうず。 せめてネガ現像の日付くらい書いとけば良いのに、それもしてなかった全くの愚かモノ
^^;
+
写真店の袋には「月日」(依頼日や仕上り日)がたいてい記入されてますが、どういう理由か軒並み「年」が記入されてません。 私はネガやプリントを、この写真店の袋ごとに保管していたのが救いですが、「年」を特定するのが大事な作業のひとつになってます。
私はネガを最初にチェックし、スプロケット外側の通し番号を見て、一本分が揃って順番に並んでいるか確認します。 下は通し番号の例で、生フイルムには最初からこの番号が焼き込まれてます。 フイルムメーカーにより、書き込みデザインが違います。
スキャナーにかける時の表裏、順番を整然とさせ、撮影の時間的な順番をキープし、コマのスキャン漏れを防ぐには、このネガチェックが大事です。 ベタ焼きがあるとチェックの助けになりますが、無くても困りません。
次はネガの装填。 フイルム専用スキャナーがベストですが、経済的理由で EPSONの昔のフラットヘッドを使ってます。 手袋をしてネガを正しい向き順番に、読み取りフォルダーにセットします。
ネガ両面にブロアーをかけ、スキャナー側も毎回チリをぬぐってから、このフォルダーをセットします。
プリントは 600dpi 、35mmネガやリバーサルは 2400dpi でスキャンしています。 デジタルカメラの1コマのデータ容量を参考にして、スキャンして得られる解像感が妥当と思われる「スキャンdpi」を探した結果です。 もっとdpiを上げられますが、解像感が頭うちとなりスキャン時間が無駄に長くなります。 これは、フイルム画像の画質の限界と、スキャナー自体の限界が関係すると思われます。
+
さて、今回のネガは24コマ撮りのフイルム。 最初の方のコマに年度の手掛かりがありました。 部屋の様子も、写った玩具の電車にも全く覚えがありません
^^; どこか友人宅で面白い玩具だから撮ったらしい。(追記を参照ください)
この左隅の牛乳パック、画像調整すると製造日らしき文字が判ります。(1995年までは製造日、以降は賞味期限等の表示に変ったそうです)
「49.2.19」らしく、1974年2月頃に撮影した映像というわけです。 袋の日付が3月7日となっていて、間違いなさそうです。
こんな幸運な写り込みや、私の記憶の断片、写った人の服装、等々から撮影時期を調べています。 だいたい7~8割は判明し、不明なものは5年範囲の枠に大別して調査待ちとしてます。 他のフイルムに関連したものが写っていて、それで時期が判る場合もあります。
スキャンした画像を見て行くと、このコマは何と思ったら、
撮った本人ですから、ちょっと考えて判りました。 これは、車のバックミラーを写したのです。 探偵映画の様な絵を試したかった様です。
+
フイルムの最後の方に、けったいな店の写真がありました。
28mmの広角デフォルメを試した1コマらしい。 一体どこの店でしょう?
このスキャナーのドライバーアプリの癖ですが、暗い写真が続くとコマの境目が判断出来ず、コマ飛ばしをしたりします。 実は上のコマの手前の1コマが飛ばされてました。 スキャン後の有効コマ数のチェックも、欠かせない作業になってます。 飛ばされたコマを非自動でスキャンしたのが下です。
車の中からの撮影で、左端にその前の画像が重なっていて、巻き上げ時にスプロケットが空転した様です。 二重写しと右側の黒いフロント窓枠のせいで、ソフトがこのコマを無視したのです。 しかし、この画像に上の店の情報が沢山ありました。 元画像からその部分を集めたのが下です。
私の記憶する行動範囲内で、店名の「アクエリアス」「ゆか美容室」「高橋小児科」などを調べても、40年を越える月日の間に無くなってしまった様です。 しかし「スーパーikari」は現存し、Street View で店の位置から周囲を見渡すと、この建物が見つかりました。
建物全体の形が酷似しています。 手前の電柱の後ろの壁、不規則な石タイルのデザインが全く同じです。 喫茶店はやはり変っていましたが、建物は震災を越え、改装工事も何度か行われたでしょう。 Street View でたまに有りますが、同じ場所で違った日時の映像が重なることがあり、この建物の別像では改装工事中でした。
右は改装シートに包まれた当ビルで、「こしき珈琲店」の店名が読めます。 遠くの送電線鉄塔は、最初の写真にも、頭が少し写っています。 レンズによりパースが大変異なりますが、形は同じです。 昔の写真に写った瓦屋根の民家は、40年の間にみな建て変ってしまったのですね。
こんな風なことをしていると、本来の写真整理から横道にそれて、過去の世界に入り込んだ様な気がして来ます。 いや、それが楽しくて整理しているとも思えます。 写真は殆ど忘れそうになった頃になってから見ると、何倍も面白くて何倍も意味があるのです。
〔追記〕
路面電車の玩具、側面の「OHYOGIN」の文字から調べると、最初の「O」は何かのマークで「HYOGIN」つまり「兵庫相互銀行」の事と判りました。 これは銀行の路面電車型の貯金箱なんですね。 Yahooオークションにあった写真が下で、「ひょうぎん貯金箱」の文字になっています。
また下は「
九州鉄道記念館戸畑分館(28)2015/09」にあった写真を拝借したもので、「さよなら神戸市電」とあります。 神戸市の路面電車は1971年に全線廃止で、その当時に提供された貯金箱でしょうか。
+
モノクローム写真は Pentax SP + SMC Takumar 55mmF1.8 , 28mm F3.5 で撮影、画像はクリックで拡大表示します。