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フルレンジユニット Seas FA22RCZ を導入

2016年 05月 10日
私のステレオセットのスピーカーは、20cmフルレンジの ONKYO FRX-20 をサンスイの箱に入れたものでした。 ユニットは40年程頑張って来たのですが、先日突然片チャンネルが出なくなり、調べるとボイスコイルの断線でした。2年前にエッジ修復をして、未だまだ使えると思っていたのですが...

プロに任せればコイル修復も可能でしょうが、元の音はもう戻らないと思いました。 再び故障も有り得るので、新しいユニットの導入を決心したのです。

さてネットでユニット探しです。 一番問題にしたのは、気に入ってるサンスイ(SP200)の箱を継続して使うこと。 FRX-20 用に貼ったバッフルを、そのまま使えるユニットを探しました。 輸入販売ルートのある 20cmクラスのフルレンジユニットのほぼすべてを調べ、バッフル開口径と取付けネジ位置(径)の近似する機種を3機種程に絞り、価格ランク等から Seas FA22RCZ というユニットに決めました。

Seasはノルウェイのスピーカーメーカーで、入手先は輸入業者の MIXEL 、慣れない個人輸入より確実さを選択しました。

以下は、このユニットの実装の様子です。 導入を考えられている方は参考になると思います。


このユニットの端子部分です。
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①は透明な環状の樹脂フレームで、円盤状のダンパー➁は、これに貼り付けられている様です。 ➄はスピーカー全体の骨格(スパイダー)と一体の環状の枠で、①との間にダンパー➁を挟む構造です。 このユニットは変わっていて、横からボイスコイル⑥の一部が見えます。 工作時に、ゴミや金属粉等をここに吸い込ませない様に、一応注意した方が良いでしょう。

このユニットのダンパーは、シースルーで空気の抵抗を減らす意図が窺えます。 コイルボビンが長めでダンパー後方にカバーが無い構造は、ダンパー背圧の解放を考慮したらしく、コイルの露出はその結果でしょう。 スパイダーもコーンの背圧を極力逃がす形状で、ゴム製のエッジ、コーンのロングストローク(14mm)等、このユニットは独特の設計意図を感じさせるものです。

樹脂フレーム①の一部に端子板➂が固定されていて、フレキシブルワイア④は端子板にハンダ付けされてます。 ユニットへの配線に関してですが、端子板➂へのハンダ付け加工は、樹脂フレーム①を変形させる可能性があります。 どうも、ここは平型端子(雌)で配線するのが仕様の様です。 ただ、この端子板は少し薄く、接触圧が少し弱い様に感じました。 自信のある人は雌端子を増しカシメした方が良いかも。

下は私の結線の様子ですが、刺しただけでは端子に遊びがあり気になりました。
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コーン中央のサブコーンの様子です。
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コーンは薄い紫に染められてますが、染色されない茶色の繊維が一部浮いて見えます。 このラフなところも特徴なのかも?


このユニットの固定方法で注意が要るのは、6ヵ所の固定穴がM5の雌ネジ加工されている事です。 私はM5のボルトと爪付きナットを用意していたのですが、それを使うためにはフレームの雌ネジをドリルで潰す必要があります。
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雌ネジを潰さないならM4にするしかありません。 私はM4に変更することにし、ボルト類を買い直しました。 固定はM4ボルトで充分で、工作時のスピーカーの持ち上げには、このM5雌ネジがあって便利でした。

この雌ネジを固定に使う場合は、必然的にバッフル裏方向から固定する事になります。 これは普通には考えにくい事で、どうも搬送用のプロテクター固定のために、雌ネジにした様です。 下は梱包時にユニット前方に留められるコーン面のプロテクターで、M5雌ネジに噛むものです。
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ここからはバッフル板の再利用に関する話です。

以前のユニット FRX-20 のM5の4穴がX字方向に加工されていて、ネジ穴配置(直径210mm)が FA22RCZ と同じ。 ただ、FR22RCZ は6穴なので、元の対角の2穴だけが共通です。

この対角2穴(下図の丸枠)で FR22RCZ を仮固定し、フレームの外径を正確にくり抜いた3mm厚の床材➆を被せ、バッフル板に画鋲で固定しました。
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残り4穴をM5で加工して、フレームのM5雌ネジを潰す方法があったのですが、迷った末にM4に変更。 床材➆はそのために必要でした。 上の状態で対角のM5ボルトを抜き、ユニットを少し反時計に回転させ、6穴が時計文字の位置となる様にしました。 床材によって以前のユニットと軸が一致し、バッフル開口の中央にユニットが正確に配置される塩梅です。

次に、置かれたユニットの6穴に合わせてドリルで穴をあけて行きます。 先ず1ヵ所を4.5mmで垂直に落としM5ボルトで仮固定、その対角の穴を4.5mmで落としM5ボルトで仮固定。 後は残り4穴を4.5mmで空け、木屑を随時掃除機で吸いました。(掃除機の使用は、コーン部等を吸い付けて壊さない様に注意が要ります)

仮固定を再び外してユニットを取り外し、床材も取り外します。 4.5mmで開けた6穴を、掃除機で吸いながら5mm刃で拡張。 これは、M4の爪付きナット外形5.5mmの下穴として5mmが適しているからです。 下はユニットの本固定に使った M4のボルトと爪付きナットのペアです。
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何度も使うと痛むので、予備のM4ボルトを使って、M4爪付きナットをバッフル裏面から締め込んで固定。 6ヵ所はかなりくたびれます。 本来は裏から金槌で叩き込むものでしょうが、表から加工するにはボルトで締めるしかありません。 バッフル表面はボルト食い込みを防ぐため、4mm穴のL字金具を間に当てました。 爪付きナットが留まれば、後は配線したユニットを固定するだけです。


私のスピーカーボックスのバスレフポートは、外径90mmの塩ビパイプです。 バッフル板側に内径90mmの短い塩ビポートがあり、これに差し込んだ長いパイプが実際のポートになります。 この塩ビパイプの交換で、ボックスの低域の調整をする構造です。 今回のユニットで私のボックス約65ℓ等から計算し、ポート長20cmと暫定し新しい塩ビパイプを用意しました。

この概算は、以下のページでスピーカーとボックスの諸元を入力し、適当なポート長を算出したものです。 あくまで概算ですが、周波数特性グラフを見ながら値を計算できるのは便利です。

しかし、新しく用意した塩ビパイプは受け側のパイプに入り難く、叩き込むと二度と外せなくなるので、パイプを少し削って細くする事にしました。

最初は粗いサンドペーパーがけで済むと思ったが、予想に反して窮屈さに全く変化がありません。 人力では大変そうなので、電動ドリルを使う事にしました。
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電動ドリルを固定しているのは簡易版のドリルスタンドです。 ⑧はペットボトルで、塩ビパイプ内側にフィットするものを探して来ました。 ボトル口側の受けとして、あり合わせの塩ビパイプをバイスで固定。 ドリル側は、ペットボトルの底に穴を空けて6mmボルトをナット固定し、ボルトをドリルのチャック⑨に食わせてます。

この即席の旋盤をブン回して粗ヤスリで削って行ったのですが、それでも一本仕上げるのに半時間位は必要で、手作業から切り替えたのは正解でした。 削り過ぎると使えないので、何度も外したり合わせたりして、更に手間がかかっています。


音を説明する自信がありませんが、簡単にインプレッションを。

最初に感じたのはかなり能率が良い事。 仕様の通りで、これはアンプのボリューム位置で確認出来ました。 Seasの説明にありましたが、けっこう中高域が賑やかに出ます。 正面で聞くと賑やか過ぎで、外して横で聞くとちょうど良い程度か。

今は未だエージングの段階です。 今後、若干チューニングの手間が必要かも知れません。 新しいスピーカーの低音はくっきりして気持ちが良いですね。



by Ataron | 2016-05-10 20:30 | 音響関係 | Trackback | Comments(0)
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