Studio TA Subsite の案内とお知らせ

カテゴリ:撮影機材/技術( 199 )

NDフィルター愛好会

2018年 06月 08日

NDフィルターを物撮り用に


エキサイトは写真の達者な方も多いだろうから、いまさら何をと言われるかも知れないですが、覚え書き程度に書いておきます。

NDとの付き合いは、明るい野外撮影でなるべく絞りを開いた写真を撮りたく、標準/広角用に買ったのが最初です。 マイクロフォーサーズは焦点深度が深くパンフォーカスな絵が撮れるのに、夏などの野外撮影は更に絞り込まれ、これは面白くないと思ったのです。

今回は、物撮り用で(別に他で使っても良いが)、ライトセーバー撮影でいつも要るなぁと思っていたので。 ライトセーバー撮影に関しては、以下を参照ください。


私は条件が許す限り、物撮りはこの手法を使っています。 照明光源は15EN球(蛍光ランプ13w)を50cm位で振り回すだけと言った簡単なもの。 本来はもっと暗いLEDランプが適している様で、このランプは明る過ぎます。 その結果、マクロレンズをF16等と小絞りボケ覚悟で絞り、ISOを最低にしても、1秒程度の露出時間にしかなりません。 これは光源を振り回すには短かすぎるのです。

ライトセーバー法では、対象物にも拠るでしょうが数秒位の露出時間が適当でしょう。 光源をもっと暗くすると、今度は周囲の光を遮る手間が増えるため、今の13wランプはおよそ適当と私は思っています。 となると、この撮影環境の改善には NDフィルターの導入しかありません。



濃度の選択


計算の推測はいまひとつ自信が持てません。 ND値はそのまま撮影時間を伸ばす倍数になるはずで、F16→F8、撮影時間を4倍、と改善するにはND16程度と概算出来ます。 しかし、接写では撮影距離や照明光源の距離でかなり差が出そうで、結局セットで購入する安全策を採りました。

b0174191_00381590.png

◎フィルターは2枚重ね以内が推奨、できれば当然1枚が良い。
◎重ねた場合のND値は掛け算になる。

という事で、上の製品なら、ND2、ND4、ND8、ND16、ND32 まで使えるので、なんとかなりそう。 後でこの安価な製品の評価を見ると、ND8はカラーバランスが少し青味を帯びるそうです。 これは、必要ならカメラに色温度補正のカスタム登録をしても良いでしょう。



入手後のテスト


入手して最初は油拭きをしました。 以前、購入したてのフィルター枠に機械オイルの様な湿潤が付着した製品があったからで、例え何もなくてもアルコールを着けたシルボン紙で拭く様にしています。

で早速撮影テストをした所、「ND4」を着けて、レンズはMicro Nikkor 55mm F3.5、撮影距離約50cm、F5.6 、3.2sec 、ISO160 という撮影で、照明ランプは50cmほど離れた位置で旋回して下の様な撮影が出来ました。 この撮影法は、ソフトボックスやアンブレラの照明を使った様な、影の殆ど無い撮影が簡単に出来ます。

b0174191_20011955.jpg

最初にND8を使った所、撮影時間などは適当な範囲に出来ましたが、フォーカス合わせが難しくなりました。 ND8でフォーカス合わせする場合は、ポイントを照明をしてやる必要があります。 ND4の場合は薄明りがあれば、マイクロフォーサーズはゲインアップしてフォーカシング出来るので、操作が楽です。

上記の撮影でF8以上に絞ればもっと深度を採れるのですが、4sec以上になると長秒露出時のノイズ処理が入るので、3.2secで撮影しています。

総じて予想したよりND値は低くて良かったという結果になりました。 このセットの組み合わせがあれば、今回の様な撮影の色々な条件に適応出来ると思います。



[PR]
by Ataron | 2018-06-08 20:19 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

Panasonic Lumix 有線リモコンレリーズ / 製品と自作資料

2018年 06月 07日
カメラの電子技術の取り込みは1970年代から速度を速め、1980年代には物理的なレリーズは電気的なレリーズに置き換えられて行きました。 60年代にワイヤーやエアポンプ式のレリーズを使っていたのですが、振り返れば時代はゆっくり進んだという気もします。

カメラがデジタル化された現在、もはや電子的なレリーズしかあり得ないのですが、その有線レリーズのインターフェイスは案外とシンプルなものです。 パナソニックに関しては Panasonic DMC-G1 以来、Lumixシリーズの有線レリーズを何度か自作しているので、その情報をここに纏めておきます。



現在の製品


Lumixの純正リモコンは 6000円位で高過ぎますね。

b0174191_08552579.png

最初に出たのはROWA製、これは手頃価格なので購入しました。

b0174191_08553089.png

下は最近のエツミ製、コネクターが引き出しでなくジャック式で交換できそうです。 他社カメラに利用するには接続回路の問題があります。

b0174191_08551731.png

ここまでは、オーソドックスな3板式押しボタンスイッチのタイプです。 これに対して、下の最近の製品はタクトスイッチ(カメラ本体のレリーズボタンと同質)を使ったものが出て来ました。 良さそうですが、デザインの拘りは微妙。 普通の横押しが欲しい人が居るかも。

b0174191_08551121.png



自作や改造のための資料


特殊な2.5mm径 4pinコネクタは当初は入手に苦労したのですが、現在はかなりましになりました。 入手したら型は同じだが全ピンに配線されてなかったり、ハンダゴテの熱で潰してしまったり、昔は散々でした。 現在も、イアホーン用とか、特殊パーツとしての入手が必要の様ですが、下手すると純正を買った方が安上がりになります。

下はROWA製の内部で、純正Lumixのレリーズと同等の構造です。

b0174191_10230341.jpg

Lumixのレリーズは特殊な方式で、使用するのは4pinジャックの根元から2極だけです。 先側の2極はマイクのためのもので、リモコンは使用しないため結線されていません。(上の写真でも赤被覆線がカットされてます)

オーソドックスな3板式のスイッチで、ボタンを押して行くと、板の上/中が最初に接触し、更に押すと上/中/下が接触するものです。 Canon向けには単純にこのスイッチからコネクタへ3本の配線するのですが、Lumix向けのこの製品は左端に3個の抵抗が入って、簡単な専用回路を構成しています。

b0174191_10414036.jpg

ジャック部の(a)(b)はマイク用で配線がありません。 (c)(d)はリモコン内部に配線されていて、上図右の回路を構成します。

1stが上/中の板によるスイッチ。 2ndは中/下の板によるスイッチになります。

◎ボタンを全く押さない時   (c)(d)間の抵抗値  38.3kΩ

◎軽く押し 上/中がON    (c)(d)間の抵抗値  5.3kΩ

◎押し込んで上/中/下がON  (c)(d)間の抵抗値  2.0kΩ

抵抗値はアバウトでも動作します。 内部のゲート電位によりレリーズ動作を行っているはずで、この様な方式を採ったのはマイクと共用のジャックで線数を減らす必要があったからでしょう。

現在のLumixの機種ボディでも、リモコンジャック側でPana製専用マイク(4pinコネクター)が使える機種は、ボディ側に(a)(b)の配線が有る事になります。 現在の機種は3.5mm径の専用マイクジャックを備えたボディが多いですが、それが有るからといって(a)(b)の配線が無いとは断定できません。

G1、G3は配線が無く、GH1等の初期のHシリーズは配線が有った様ですが、最近の機種に関しては私は調べていません。 一般に、マイク入力側に抵抗が入ったり、接地したりしても、マイク回路に問題はありません。(上記の様なリモコン回路) 但し、微弱であれ電圧がかかる様な回路を接続すると、マイク入力側の回路にダメージを与える可能性があり注意要です。 従って、タイムラプス撮影の様な回路を自作して接続する場合は、(a)(b)への電圧が発生しないか、対象機種のマイク配線の有無などは、チェック要です。



改造した例


下はカメラ屋の中古ジャンクコーナーで入手したCanon純正のリモコンで、本来はKissデジタル用です。 もう手元にKissデジタルは無く使うあてが無かったのですが、4pinジャック着きのコードが有ったので、抵抗を加えてLumix用に改造しました。

b0174191_12023849.jpg

ジャック/コード部はノキア製イヤホーン(現在入手出来ません)を切って補修用にストックしていたものです。 リモコン内部は上記ROWA製と同様に3板式で、純正で良い作りです。 コンパクトで抵抗を入れるのに少し苦労しました。 ハンダ熱で筐体プラスチックを溶かさない様に、3板ごと分解して取り出し、抵抗を配線してから組み込みました。

線が細くて振動を伝え難いのでとても良好です。 また、ROWA製はコネクタが大きいが、これはスリムでボディに装着し易い。 こう考えると Panaの純正は良いものですが、ノイズフィルターは余計でマイナスです。

自作で一番の問題になるのは、4pinコネクタです。 ちょっと調べた所、安心できそうなのは結構良い価格になります。

b0174191_12441091.jpg

これも、ノイズフィルターは余計です。 私だったら繋ぎますけどそれも辛いですね。
ノキア携帯は4pinイヤホンを使っているので、「ノキア」「イヤホン」等で探すと現在でも使えるコネクタ/コードが入手できるかも知れません。 現在少し調べたところ、下の様な製品が見つかりました。

b0174191_13120633.jpg

コネクタがL型でないのが残念ですが、コードの質は良さそうです。 サードパーティのリモコンがもっと安く、こんな事までして改造するのは無駄と思うかも知れません。 しかし、最適な長さ、最適な線の太さと柔らかさ、気に入った操作部などの条件を満たしてくれるレリーズは、改造なしではという気がします。 実際、私のLumix用は全て自作か改造品です。



[PR]
by Ataron | 2018-06-07 11:24 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

有機センサー受光素子の開発が進んでいるらしい

2018年 02月 17日

パナソニックの有機センサー開発


数日前にネットの紹介記事を読んで印象的だったので、元の資料を読んでみました。 資料は以下のリンクにあるので、興味のある方は読んでみて下さい。



この記事の有機センサーに限らず、薄膜有機センサーの特徴は「光電変換部」と「電荷蓄積部」を分離して構成出来ることでしょう。 これによって受光素子の光と無関係な背部に、電荷を処理する広い回路部を設ける事が出来る様です。

上記のページの受光素子の構成図はえらく粗いので、ちょっと清書してみました。

b0174191_20275390.png

そして、この自由になった回路部の工夫で、従来のC-MOSセンサーでは不可能だった多くの事が可能になり、各社は各様にその開発を進めている様です。

パナの説明では、上図の「ITO電極」にかける電圧を制御する事で「グローバルシャッター」「無段階NDフィルター機能」「高感度モード・高飽和モードの切替」が可能だそうです。 また、高解像度で高速な画素ノイズを抑制する「画素内-容量結合型ノイズキャンセル技術」など、8Kに都合の良い機能も盛り込んでいる様です。

まあ、良い事づくめな話ですが、今すぐこのセンサーのカメラが発売されるかと言えば、それは未だ先でしょう。 有機薄膜センサーの発色や実用感度などが、現在のセンサーの実力を越えて、その生産の歩留まりで、コストが見合う物になるには、少し時間が必要でしょうから。



有機センサーを競うメーカー


「有機センサー」で検索すると、積極的にセンサー開発が進められている様子が感じられます。 やはりソニーはそのトップですが、今後はこの実用化が煮詰められるのではと思えます。「有機センサー」が出来るぞという話は昔からありましたが、このバナの話もかなり現実味を帯びて来ている様で、私達がそんなカメラを手にする事は、そう遠くなさそうに感じます。

例えば、この数年で一般化した有機ELのファインダーは、その発色でもはや後戻り出来ない価値を感じさせます。 それでは、有機センサーが可能にする「写真の高ダイナミックレンジ」などは、私達が実際に手にした時に「後戻り出来ない」と感じるでしょうか? いや、そういう物であって欲しいとは思うのですが。



[PR]
by Ataron | 2018-02-17 21:06 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

ズームレンズに絞り期待値の機能を

2018年 01月 01日

価格.comスレッドのある提言


価格.comに、面白く興味をひいたスレッドがありました。
実は、私自身の撮影で、最近気になっていた事が、このスレッドの話題と重なっていました。


スレッドの趣旨と注目した点


「F値通しズームレンズ」は望遠側(絞り値が本来暗い側)に合わせて広角側に副絞りを付け、本来得られる広角側の開放F値を抑えているだけ。 この様な機構は、デジタル以前のカメラには操作上で必要で有効だったが、今では不要ではないかという趣旨で始められたスレッドです。

こういったF値通しズームレンズの場合は、広角側の開放時性能の底上げが、設計に含まれている様に思えますが、「レンズ性能の体裁の繕い」に過ぎないと私も思います。 副絞りを除去した結果、広角側の開放で少々破たんした性能だったとしても、必要ならユーザー側が絞れば良いだけの話です。 それより、少しでも広角側の開放F値が明るい事が必要な場合は、大いに考えられますから。

現在の電子化されたカメラでは、レンズの開放絞り値の限界をボディ側で指定して、これまでのF値通しレンズとして使用する事も、広角側で本来の設計の上限を超えた明るいレンズとして使用する事も、簡単に可能と思われます。

とりわけマイクロフォーサーズのレンズは、絞らずともシャープに撮れる傾向が強く、またレンズとボディの情報伝達で有利ですから、F値通しズームのこの様な扱いに向いていると思えます。 実際、パナソニックのズームは、歴代でF値固定のものはXシリーズの2本しかなく、ライカもF値通しに対しては否定的な意見の様で、元々から「副絞り」方式にはそっぽを向いて来た様です。 一方、オリンパスは「副絞り(マイクロ4/3ではレンズロムで広角側を開かない様にしているのでは)」方式が大好きな様ですが。

(書込番号:21472684)
ライカ社は新しいSLシリーズのレンズにF値通しズームがない事について、「ズームレンズであれば開放F値は変わるのが自然。EVFなのでファインダーの明るさも変わらず、撮影に不便はない」との回答。

(書込番号:21472785 ~ 21472788)
最近の各社の高中ランクのズームレンズでは、軒並みにF値通しとなる傾向が強くある様です。



ズームレンズ使用時に開放絞りが絞られてしまう


私が日常的に使用しているのは「 G12-60mm F3.5-5.6 」というパナ純正の標準ズームです。 このレンズが必要で購入し、実際に手放せないレンズになっていますが、上のスレッドを読んでいて、気になっていた問題を調べて見ました。

日頃の撮影はゆっくり設定を選べる状況が少ないのですが、絞り開放で撮影していたつもりが、ズーム操作をしている間に、レンズ絞り値の暗い側に設定が移動している事が、よくあるのです。

この問題を「Panasonic DMC-G8 + G12-60mm F3.5-5.6」を使って、少しシュミレーションして見ました。 カメラの露出設定は A(絞り優先)です。


操作1


①広角側 絞り開放 にセット(12mm F3.5に設定)

b0174191_17481959.jpg

➁望遠側にズームして レリーズ半押しでAE測光(60mm F5.6の表示)

b0174191_17524017.jpg

➂広角側にズームを戻して レリーズ半押しでAE測光(12mm F3.5の表示 → ①の絞り値に戻る

①~➂で実際に撮影しても、設定された焦点距離に相当の開放絞り値になります。


操作2


④広角側 絞り開放 にセット(12mm F3.5に設定) ①と同じです。

b0174191_17481959.jpg

➄望遠側にズームして 絞り値ダイアルに触り値を戻す(60mm F5.6に設定)

b0174191_18072265.jpg

⑥広角側にズームを戻し レリーズ半押しでAE測光(12mm F5.6の表示 → F値が暗い側になったまま

b0174191_18100437.jpg


原因は絞り値ダイアルの操作


絞りダイアルを操作すると、カメラはダイアルが止まった時点での絞り値を設定値にします。 こちらの意図は「レンズの開放側」であっても、その時点で望遠側にズームしていると「その焦点距離での開放F値」が設定されてしまいます。

この様な操作体系では、常に暗い側(望遠側)の開放F値に落ち着く傾向が生じます。 これが、私が良く経験する失敗の原因です。 どこかで絞りダイアルに触れるか、あるいは操作をしたのでしょう。

Panasonic DMC-G8 の操作体系では、現在の焦点距離で可能な絞り値より明るい側に設定が出来ません。 望遠側で一旦絞りダイアルを操作すると①➁の状態には戻れないのです。 ①➁の状態は、常に可能な開放絞り値で撮影する設定です。 この様な体系は Panasonic に限らず、多くのメーカーの方式もそうではないかと想像します。



推奨されるバランスのとれた操作の形


新しい操作の形として、ズームレンズに対しては現在の焦点距離で可能な開放F値を越えて、期待F値を設定できる様にすれば、私の様なユーザーには適しているでしょう。

b0174191_19360894.jpg

期待F値が、現在のズーム焦点距離の開放F値より低い場合は、現在の開放F値でAEし、ズーム焦点距離の開放F値より期待F値が高ければ、期待F値でAEすれば良く、これは①➁の状態がズームの望遠側でも設定できる方式です。

この様な操作体系にすれば、絞りダイアルを触っても、「できるだけ開放で撮影」とか「できれば開放より少し絞って撮影」と言った、ユーザーの好みの絞り値を目標として維持出来ます。 今までの体系に比べて、暗い側に寄らないバランスがとれた方式になるはずです。

私は、この操作体系だけで良いと思いますが、カメラの設定で「期待F値」を従来通りに設定出来ない様にも出来る選択方式にすれば、混乱を避けられるでしょう。

そしてこの様な発想を更に拡張すれば、F値通しズームの後進性を払拭する新しい操作体系にも関連する事がお判りになるでしょう。 期待F値を設定する代わりに、最低F値を設定する様に体系を構成すれば、それはF値通しズームとして機能出来るわけですから。






[PR]
by Ataron | 2018-01-01 20:07 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

カードリーダーの分解 BUFFALO MCR-A27/U2

2017年 06月 03日
カメラの記録媒体の読み取り機器としてカードリーダーを使われる方は多いでしょう。 私は、BUFFALO製の MCR-A27/U2 (USB) というカードリーダーを10年近く使用しています。

b0174191_15102595.jpg

コンパクトフラッシュやSDカードなど5種のスロットがあり、実際にはそれ以上の種類の記録媒体に対応する様です。 このカードリーダーの筐体はネジを使用せず、プラスチックの爪でパックされているだけです。 下図の4ヵ所の爪を外すと筐体を開く事が出来ますが、爪を痛めず分解するにはコツと用心が必要です。

b0174191_15102551.jpg

上図は、筐体上面で鏡面装飾のある側ですが、私はUSBコネクターの左右の爪から外して開けました。 結果として爪の一つが割れましたが、筐体を元通りパックするには問題はありません。 爪の位置と向きを参考にして、薄いプラ板等を刺し入れて爪組を外しながら開くと、無傷で開けられるかも知れません。

b0174191_16452807.jpg

プラスチック筐体でパックされた内部の基盤は、下の様なものです。(内部の基盤を底面に納めた状態です)

b0174191_15433624.jpg


カードリーダーを分解した理由は、ロックタブが少し削れて消去が不安定になったSDカードを、不便なく使用するためでした。 ロックタブの無いカードは、普通はカメラ側で使用不能です。 しかし、カメラでは使用可能なのに、このリーダーでは消去(書き込み)が不安定なカードが有ります。 リーダーに刺して消去不能と表示されると、何度か刺し直して消去可能にして使用していました。 それが不便で、今回の分解と改造を試みたのです。

SDカードのスロットには書き込み禁止タブ(ロックタブ)に対応するロックスイッチ(LOCK SW)があります。 下図は、分解したリーダーのSDスロット部で、ロックスイッチの位置を予測して白色で書き込んでいます。

b0174191_15102418.jpg

このスイッチ接点は上図の青円の2枚の端子に繋がり、基盤配線にハンダ付けされていました。 ロックスイッチの動作は以下です。
  アンロックのSDカード挿入 → ON
  ロックされたSDカード挿入 → OFF

従って、このロックスイッチを常時ONとすれば、タブの削れたSDカードでも安定して消去可能となります。 改造は簡単で、上図の青円の端子をハンダで短絡しました。 問題のSDカードやタブをLOCK側にしたカードで試すと、消去/書き込みが可能となる事が確認出来ました。 ところが、予想外の落とし穴が...

このリーダーはマルチタイプで、1つのスロットが使用されている時は、他のスロットが認識されないのです。 上記の改造ではSDスロットが常に使用中と判断される様で、コンパクトフラッシュを読む事が出来なくなりました。 私はコンパクトフラッシュも使うので、改造を諦めて短絡を外し、カードリーダーを元に戻しました。

リーダーの機構やドライバーにも関係しますが、マルチタイプリーダーでも、他の種類の媒体の読み取りが不要なら、ロックスイッチ端子の短絡改造は有効と思われます。 世の中には多種のカードリーダーが有りますが、似た様な物が多いはずで、分解や改造の参考にしてください。



[PR]
by Ataron | 2017-06-03 16:56 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

IXY DIGITAL 200 のファインダー内のクリーニング

2017年 05月 15日
Canon IXY Digital 200 は2001年発売のCCD受光素子を使用したカメラです。 レンズ交換式デジタルカメラが庶民の物となる前の時代を担ったカメラです。

b0174191_11111601.jpg

沈胴式のレンズ構造が採用され始めたのは、各社とも200万画素(2Mピクセル)を越えたあたりからです。 デジタルカメラの創成期は40万画素のビデオ機用撮像素子が流用されていたのですが、80万画素、140万画素と、一気にデジタルカメラ専用の素子を得る流れが起こり、写真愛好家達はワクワクしていた時代です。 メタリックで印象的なこのスタイルは、そんな息吹を感じさせます。

IXY Digital 200 は、ズームに連動する光学式ファインダーを搭載しています。 この時代のデジタルカメラは画像の処理能力が低く、背面液晶は撮影設定と撮影後の画像確認しか出来なかったのです。 それ故、この光学式ファインダーの役目は大きいのです。 後世のユーザーは、このファインダーはデザインかオマケだと思ってしまうかも知れませんが。


今ではコレクターズアイテムになりつつある IXY DIGITAL 200 ですが、過去にこのカメラのファインダー内のゴミを清掃した経験があり、メンテの参考資料として挙げておく事にしました。 ファインダー内の清掃のため少し分解をしますが、そう大変なものではありません。

IXY Digital 200 は、表面と背面と上面/側面の3つのカバーが本体を囲う構造で、小ネジを外していくと簡単にカバーが外れます。(背面だけ、表面だけという外し方が可能です) 小ネジは種類がありますから、元の取付け場所を置き方を工夫して忘れない様にしながら、カバーを外します。 セロファンテープで台紙の上に、小ネジを貼り付けながら分解すると完璧です。

b0174191_11555138.jpg

下はカバーを外した背面側で、液晶の枠にSONYの刻印があります。

b0174191_11570338.jpg

表面側は下の様になっていて、基盤をフイルム状のシールドが覆っています。

b0174191_11590904.jpg

下図上側はレリーズ/ズームボタンを配した上面/側面のカバーです。(写真の左端は切れています)
下図下側はカメラ本体を上から見たものです。 光学ファインダー全体は少し複雑な形をしてますが、グリーンでおうよその形を示しました。

b0174191_12131142.jpg

ファインダーを背面側から見た写真が下です。 接眼するルーペになるレンズは、プラスチック製のファインダー外郭に単に嵌っているだけで、力を加えるとポロリと取れます。 ルーペの下にはまたグラス面(たぶんプリズム面)があり、これとルーペの間はホコリが入り易いところで、ゴミは綿棒などで取り除けます。

b0174191_12215228.jpg

しかし、これだけでは肝心のフォーカシング面のゴミはどうしようもありません。 最初はプリズム全体を取り出す事を考えていたのですが、そのうちルーペの右横に張られた小さな細長いテープに気付きました。 このテープをピンセットで剥がすと、上の写真の様に縦長の小さな間隙が出て来ました。

ここからブローすれば何とかフォーカシング面に届かないかと思い、やってみるとこれが大正解でした。 これは、フォーカシング面を清掃するための穴と思われます。 テープはゴミを防ぐために、再び貼っておく必要があります。

IXY Digital 200 は、この様な方法でファインダー内の清掃が出来ます。(背面カバーだけ外せば良く、前面や上面/側面のカバーを外す必要はありません) IXY Digital 200 のファインダー清掃について書きましたが、Canonのこれに近いシリーズ製品が同じ方法で清掃可能か、情報をお持ちの方はコメント戴けると幸いです。






[PR]
by Ataron | 2017-05-15 12:35 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(2)

Panasonic G VARIO 12-60mm F3.5-5.6(標準ズーム)の望遠端の描写性能

2017年 05月 11日
Panasonic G 12-60mm F3.5-5.6 は、広角12mm始まりで望遠は60mmまでをカバーし、日常的な撮影でとても役立つ標準ズームレンズです。 Panasonicとしては、このエリアをカバーするズームは初めてで、私のニーズにピッタリでした。

Lumix初期の標準ズーム G 14-42mm F3.5-5.6 もそうでしたが、Panasonic は標準ズームに対して、リーズナブルな価格ながら性能の高いレンズを提供し、Lumixの愛用者を拡大する使命を課していると、私は考えています。 最高クラスの性能ではないにせよ、G 12-60mm F3.5-5.6 は非球面レンズ3枚、EDレンズ1枚を使用したミドルクラスのレンズです。 Panasonicは現在、このレンズをG8とGH5の最新機種の標準ズームとして販売して、このレンズのランクを示していると受け取れます。

私にとってこのレンズは現在最も使用率が高く、その性能に納得しています。 ところが最近、ネット上でこのレンズの望遠端の性能を危惧する話題がある事を知りました。 その元となったのは、以下の「ePHOTOzine」のテストと再テストに関して報じた「デジカメinfo」の2つの記事です。

最初の記事
再テスト後の記事
評価サイトの「ePHOTOzine」では、最初のテストレンズが「外れ玉」で、後に別の「まとも」なレンズで再テストをしたとして、特に「望遠域」の評価の書換えがありました。 更に、このテストを引用した「デジカメinfo」のコメント欄で、初期不良品の交換依頼の話が書き込まれ、性能のバラつきや、レンズ自体に問題のある様な印象を与えます。

過去のフォーサーズ時代に、初期ロットに問題があった際に、Panasonicは公開して対策処置を施した事があります。 また、程度によっては非公開に対策する場合もあると思います。 今回は特に報告はない様ですが、いずれにせよPanasonicがダメな製品を販売し続ける理由はなく、性能を疑うならちょっとテストをすれば判ることです。



そもそも発端となった「ePHOTOzine」の記事のサンプル画像を見て少し驚きます。 望遠端60mmの画像がとんでも画像のオンパレードです。 良く見ればテスト目的で変な画像になったとも取れるのですが。 最初のテストレンズが「外れ玉」と言うのは言い訳で、テストサンプルの撮影や選択が酷すぎた「失敗テスト」が実情に思えて仕方ありません。(私はPanaファンですから)

この記事の60mmのサンプルがどれだけ誤解を生み易いか説明しますが、実際の画像は以下のリンク先のサンプル画像で、「High Res」を押して確認出来ます。

「ePHOTOzine」のテスト記事

◎サンプル1
これは「CA Test」(色収差のテスト)で、空と塔の境界での色収差の目立つ部分を見て欲しいらしい。 しかし、そんな事を知らずに見ると、フォーカスが塔の下方に有り「何ともピントの悪い」写真だと思ってしまう。 失敗撮影でブログにも載せたく無い絵で、普通ならもっと上部にフォーカスを採るでしょう。

b0174191_21512601.jpg

◎サンプル2
「ドラキュラ伯爵」だそうで、イベント役者を数コマ撮影しているが、普通は顔にピントを置く撮影が、お腹のあたりにピントがあります。 また、マイクロフォーサーズの知識が無いのか「F11.0」は絞り過ぎ。 素人の撮影?

b0174191_21515513.jpg

◎サンプル3
これは「Flare Test」が目的で、鳩の実像の上の「紫のフレアー」などを指摘している様です。 このレンズは「逆光耐性は余り優れていない」という意見が多く、それをテストするのは妥当です。 しかし、この写真を単に60mmのサンプルと思ってしまうと、鳩にはピントが来ていないし、フォーカスが何処にあるのか判らないボツ写真です。

b0174191_22103221.jpg

以上が60mmサンプルの全てで、これが故障レンズのせいなのでしょうか。 他の焦点域は問題が感じられず、それはにわかに信じ難いのですが。 もし極端な片ボケなど撮影中に異常を感じたなら、コントラストAFですから中央一点やタッチフォーカス等でもう少しマシな写真が撮れたはず。 後でマシなサンプルが出せないとは、プロならテスターとして失格です。「デジカメinfo」のコメントには、60mmの写りはこんなモノと思い込んで書き込んでいるらしい人も居る様子です。



私の G 12-60mm F3.5-5.6 のテスト撮影の結果を、対抗して載せておきます。 都市伝説がひとり歩きしがちですが、普通にこの程度は写るレンズだと思います。

望遠端60mmの画質をチェックするために、レンガ塀を約15mの距離で絞りブラケット撮影をしました。 三脚固定、電子シャッター、絞り優先Aモード、F値は「5.6 / 8.0 / 11.0 / 16.0 / 22.0」と自動的に切り替わっています。「F22.0」は小絞りボケが明らかで、普通は使わない絞り値なので結果は省いています。

下は撮影した基本の画像を1/5程度に縮小したものです。 切り出し部分の説明のための画像ですが、マイクロフォーサーズは歪曲が綺麗に整えられている事が判ります。

b0174191_17285903.jpg

下は「CE,C1~C4」の範囲の等倍切り出しを、F値毎に並べたものです。 画像をクリックすると拡大表示し、等倍で表示されます。

b0174191_17345444.jpg

1行目が中央部「CE」、2行目~5行目が周辺部「C1~C4」です。
2行目~5行目の左端の「F5.6」は、周辺光量補正をしていなので他の絞り値より若干アンダーに写っています。 この理由で「F5.6」がコントラストが良く見えるきらいがあります。 良く見ると各行とも「F8.0」の方が精細に写っていると思います。

中央部は「F5.6」(開放)から問題の無い写りです。 周辺部は、中央部と比較してどの程度劣るかが良く判ると思いますが、そう酷くはないと思います。「C1」「C2」が「C3」「C4」より僅かに良い様な気がしますが、誤差の範囲でしょう。 このテストは重箱の隅をつついている事を思い出してください。

壁の絵だけでは実感に乏しいかも知れないので、街中の写真を1コマ。 元画像のサイズを1/2、Jpeg圧縮で画質を少し落して掲載しています。 建物の壁面にフォーカスしていますが、シャープネス等の調整は無しです。

F6.3 1/200sec ISO100 at 60mm
b0174191_23130894.jpg

G8の標準ズームとして充分な写りと思います。
サンプルをもう一枚。 画像を1/2にリサイズし、Jpeg圧縮率を上げ 500KB以下としたのは上と同じです。

F5.6開放 1/640sec ISO800 at 60mm
b0174191_17223321.jpg




[PR]
by Ataron | 2017-05-11 23:22 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

TASCAM TX-2 のマイクノイズテスト

2017年 05月 07日
G8の内蔵マイクによる動画録音のノイズに関して調べて来ましたが、比較的安価な外部マイクや、マイク用のヘッドアンプの追加では、内蔵マイクに劣る結果になりました。

ここに至り、信頼するに足るSN比を持つECMマイクをテストするしか、実相を確かめることが出来ないと判断しました。 むろん将来の使用を考えた上の話で、「TASCAM TX-2」という製品を入手しました。 これは、デジタルカメラ用に設計されたステレオ仕様の外部マイクです。

b0174191_21120659.jpg

以下のリンクは、この製品に関するメーカーサイトです。
公開されている特性は以下です。

b0174191_21114424.png

SN比 74dB は、おそらく信頼できる値でしょう。 マイクユニットは、同ブランドの「リニアPCMレコーダーDR-40(SN比92dB以上)」と同等と言われています。 PCMレコーダーの驚異的なSN比をどの様にして得ているのかは、一般には公開されていません。 もしSN比の優れた録音のみが目的ならPCMレコーダーを導入しますが、今はアナログ的なアプローチでG8の録音機能を調べたい事や、大きさや取り回しを考えて、こちらを選択しました。


入手後に、早速G8に繋ぎ、今までと同様の方法でテストをしました。

b0174191_21533652.png

◎PCの音響アプリで基準音と無音部を繰り返すデータを作成し再生させる。
◎DA変換器(USBデジタルオーディオプロセッサ)からLINE-OUTを引き出す。
◎生活機器や雑音の少ない静かな部屋にPAアンプを置き、DA変換器の出力を繋ぎ込む。
◎PAアンプから1m程度の位置で、カメラや外部マイクで録音。
◎最終的なPAアンプの出力は、カメラ録音ゲイン0dBの設定で、クリップ限度(赤表示の出る直前)に納まる様に調整。

◎録画の音声を音響アプリに取り込み、基準音のレベルが揃う様に増幅し、各録音の感度を揃える。
◎その場合のノイズ部を比較。 但し、ノイズが判り易い様に+20dBの増幅を加える。

以上の操作で、幾つかの設定での録音のノイズを比較した結果が下図です。

b0174191_22203677.png

各サンプルの横幅(時間)は10sec程度です。 縦幅は各種増幅操作をしているので、絶対値での表記が困難です。

G8の内蔵マイクは、音声入力がある程度以下となるとなだらかにゲインが減り、ノイズゲートの動作をしています。 従って、左端の最も大きな縦幅が内蔵マイク本来の無音時ノイズレベルと考えられます。

2種の外部マイクに関しては、それぞれ3つの設定で録音しています。

Tascam TM-X2 の最初の設定は、G8の録音ゲイン設定を+6dBとした場合です。 この設定で内蔵マイクと同程度の感度になりました。(TM-X2の設定は常に、出力H、ローカットOFF) 外部マイクにはノイズゲートが働きませんから、ユニット自体の特性は内蔵マイクと同じかそれ以上と判ります。 TM-X2は低域カット無しでこのレベルですから、かなり良いSN比だと言えます。

TM-X2 の2つ目は、G8の録音ゲイン0dBの設定で、録音レベルはクリップ限度より少し低くなります。 結果は、先とノイズ特性は変わらずです。

TM-X2 の3つ目は、間にマイクアンプを入れた場合で、少しクリップ限度を超える録音レベルになりました。 録音された波形を見ると実際はクリップしておらず、G8のメーターは余裕を採っている印象があります。 TM-X2は内部にパスパワーで働くヘッドアンプが内蔵されていて、マイクアンプを入れるのは逆効果という結果です。

右の3つは、安価なAndore(ピンマイク)を TM-X2と同じ条件でテストしています。
G8の録音ゲイン設定+6dBが少し良い様ですが、やはりECMマイクユニットの特性の差が出た様です。


今回のテストで、TM-X2のユニットの素性が悪くなさそうだと言う事は垣間見えました。 しかし、内蔵マイク録音と、このTM-X2を使った録音は、ノイズは大きく変わらないという結果です。(ノイズの音質は異なりますが) バックグラウンドノイズを問題にした場合、おそらくどんなECMマイクを選んでも、決定的には変わらないのではないかと思えて来ました。

誤解の無い様に書いておきますが、音質は別の問題です。 G8やG3の内蔵マイクは、おそらくハンドリングや機械的な雑音を抑制する目的で、デフォルトで低域を大幅にカットしています。 外部マイクは基本的に低域の特性をフラットに持たせている(メーカー/機種により味付けが異なる)ので、録音音質は大きく変わります。 投資が無駄という事は全くありません。

ノイズを減らすのに単にマイクを変えれば良いという考えは間違っているのでしょう。 録音時に音源に近付き大きく取り込み、下手なAGCに頼らない、環境雑音を減らすなど、テクニックの駆使が必要です。 外部マイクは、そういった事が可能になる事を前提に導入すべきで、本気でノイズを減らしたいなら、カメラシュー取り付けに拘ると足枷になると思います。

また、このテストは、静的なノイズ特性を比較しただけで、ダイナミックレンジを見ていません。 オンマイクにした大きな音圧でも歪まず録る事が出来るマイクは、ノイズを可聴域以下に追い出せます。 そういう録り方が可能な場合、静的なノイズ性能が劣ったマイクの方が、録音結果は高SNとなる場合が出て来ます。 マイクの評価は単純ではないと言えます。



[PR]
by Ataron | 2017-05-07 00:21 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

ECMマイク専用のヘッドアンプの製作

2017年 04月 27日
G8の動画録音に関して、内蔵マイクの録音ではSN比が芳しくなく、外部マイクの録音ではどうなのかをテスト中です。

ネットを調べると、YouTubeに録音テスト風の動画が多数有り、どうやら「ユーチューバー」達が自分達の動画音声の品質を気にし始めた事が判ります。 アテにならない情報は無視して、メーカー仕様、価格.com情報、色々な人の実験的情報などを参照して、現在およそ次の様に考えています。

①カメラの動画の同時録音には、PCM録音機器(デジタル録音機器)からカメラへのライン入力がベスト。
➁PCM録音機器との間にアッテネーターが必要か(減衰比は?)は、機器側/カメラ側の仕様により異なる様子。
➂デジタルカメラ専用の外部マイクは評価が微妙。 しかし、専用外部マイク製品は豊富化しつつある。



私のテストしたかった点は、「外部ECMマイク」「外部ECMマイク+ヘッドアンプ(初段アンプ)」の構成が、内蔵マイク録音のSN比を改善できるかという事です。 それで、カメラのパスパワーの電源ノイズ等の影響の有無が見えて来るでしょう。

押入れを探すと、昔に自作したボーカルマイク用のブーストアンプが出て来ました。「オーディオレベル」より少しアバウトな「楽器レベル」の代物でしたが、これをECMマイク用のヘッドアンプに改造しました。

オペアンプを1個使う9V電池で働く回路で、元回路はエレキアンプ用に出力インピーダンスが高く、そのままでは使えません。 そこで、ネットの専門家達の知識を輸入しては、以下の回路に改めました。 テスト入手した安価なECMマイクを繋ぎ、ノイズを耳で確認しながら色々と定数を変えた結果ですが、今後も改める所があるかも知れません。

b0174191_14152591.png

●(マイク側)入力インピーダンスは10KΩ、出力インピーダンスは1KΩです。 一般のECMマイクユニットやG8の外部マイク入力のインピーダンスに適当な値にしています。
●ヘッドアンプのゲインは「 -20dB ~ +14dB 」間で可変です。 常識的な範囲のテストで、「ヘッドアンプゲインUP、カメラ側入力ゲインDOWN」「ヘッドアンプゲインDOWN、カメラ側入力ゲインUP」は、録音のSN比に影響が見られませんでした。 この事から、カメラ側の適正入力に合せたレベルで送り込むのが無難と考え、このアンプはマイク感度の調整用範囲のゲインで、もっぱらバッファーアンプ的な動作をする増幅率としました。
●オペアンプの片側が余るので、ECMマイク用のパスパワー4.5vをここから出しています。 2KΩの手前にローパスフィルターを入れてマイクの電源ノイズを抑えるべきかとも思ったのですが、簡単なテストでは効果が見えず省略しています。
●回路図には表れませんが、50KΩボリュームの金属ケースの接地はハム対策で必要です。 その他、マイクからの配線、回路全体がマイク感度上で働き、ノイズ/ハムに敏感です。 実用機とするならメタルケースが万全です。

下図は、この自作のヘッドアンプとマイクの接続の様子です。

b0174191_21432269.jpg




テストのために、外部マイクとして廉価なECMマイクをアマゾンで入手しました。

b0174191_10520767.png
b0174191_16454851.png

▪面白いのは、購入先は全く別ですがクリップ部やマイク筐体の構造は酷似。 つまり同じ所で作られた物の様です。
▪DuaFireのSN比74dBは?ですが、感度は大変に良くてヘッドアンプ無しでG8に刺すと、内蔵マイク以上の感度と判ります。 それに対して Andoerは感度がかなり低く、上記の仕様表記通りの様です。 安い設定なのはそのあたりの理由でしょうか?
▪マイクユニットは、DuaFireは6mmΦ無指向性、Andoerは9.5mmΦ単一指向性、です。 音質は色々と録っては聴いてみないと簡単には比較できません。
▪どちらもマイク筐体が金属でDuaFireはしっかり接地されていて、筐体から来るハムは全くありません。 Andoerは接地が不十分でハムを拾い、これは改造の余地があります。(ECMマイクのシールド改善を参照)
▪どちらもコードは単芯のシールドで微弱ながらハムを拾い、かなり短く切って別のジャックのコードに繋ぎ直しました。 普通の使用では、ここまでする必要はないレベルです。

DuaFireの方はiPhone等の専用ジャックで、これはCTIA規格と言うらしく、一般のマイクジャックに挿しても使えません。 このテストでは通常のジャックに配線しています。

b0174191_11001451.png

▪この他に、手元に Panasonic製のECMマイクユニット WM-034CZ という部品があったので、これもテストに加えました。 下はそのデータシートです。

b0174191_17064073.png

テストした3種のマイク部の様子です。

b0174191_17084758.jpg




で、外部マイクを並べて勇んでテストしたのですが、現在の所は「外部マイク+ヘッドアンプ」のシステムは、良い結果が出たとは言えません。

b0174191_17162530.png

◎室内のPCや冷蔵庫の音が無視できないレベルになりました。 これらをシャットアウトするために、静かな部屋にテスト音源を再生するスピーカーとカメラ/マイク類を引き出してテストをしました。
◎スピーカーからテストトーンを再生、1m程の位置で「G8内蔵マイク」と「外部マイク+ヘッドアンプ」で録音。 どの場合もG8の録音感度「0dB」に設定。
◎外部マイクはヘッドアンプの増幅率を調整して、赤が出る直前の「クリップ限度」に調整して録音。
◎録音結果をテストトーンのレベルが揃う様に、増幅微調整して比較しています。

このグラフで比較する限り、内蔵マイクの方がSN上は良くて、なあんだという結果です。 その上、内蔵マイクアンプは入力が小さいとゲインがゆっくり下がり、ノイズゲートの様な動作を示します。 外部マイク側はその動作がなく、ノイズは一定です。 しかし、それを差し引いても、外部マイクのノイズは大きく劣っています。

ただし、この結果はちょっと落とし穴があり、内蔵マイクは低域が大変にカットされているのに対し、外部マイクはどれも低域が素直に伸びている様子です。 音楽録音を試すと外部マイクの方が音質上では明らかに上で、低域が文句なく録れます。 しかし、下手に外部マイクを使うと会話がこもったりしがちで、内蔵マイクはスピーチなどを明瞭に録るタイプと割り切って、カメラボディのノイズを軽減するローカットをデフォルトで設定した様に思えます。

上図の波形の音源からテストトーンは煩いので削り、バックグラウンドノイズの部分だけにしたサンプルが以下です。 ただし、「各録音のテストトーンのレベルを-3dBに合わせる操作」は、かなりの増幅があり、実際のG8の録音時のノイズは、下のサンプルほどには酷くありません。


ノイズの音質から低域の違いが判ると思います。 これらの外部マイクでは、とてもSN改善の目的には程遠いのですが、外部マイクで低域の音質レベルアップになる事は確信出来ます。

今回のテストでは、カメラの電源ノイズが悪影響しているのではなさそうな結果です。 ここに載せたテストは、外部マイクはヘッドアンプを経由していますが、直接G8に刺したテストも結果はほぼ同傾向でした。 ヘッドアンプでSN比を改善できるかも知れないという考えは、残念ながら外れていた様です。 外部マイクが感度が低いマイクの場合は意味が有るかも知れませんが、それもG8には録音ゲイン調整がありますから。

低域カットながら、内蔵マイクの方が廉価な外部マイクより良いSN比です。 Panaは、内蔵マイクなりにベストを尽くしていると思えます。 録音のSN比改善には、SN比が信頼できる本格的なマイクに投資すれば良いという、当たり前の話なのかも知れません。 ここからは投資が必要で、気軽にテストというわけに行きません。 外部マイク(パスパワー電源マイクを含む)の実際の効果について、もう少しネット上の意見を調べて見たいと思います。



〔追記〕2017.05.03
「オマケ」と思われた内蔵マイクですが、G8では思った以上の工夫や性能の現状が見えて来ました。 それだけデジカメ内蔵マイク録音は困難という証明でもあり、ユーザーが良い録音を望むなら、単なる投資ではなく録音技術と知識を持つ必要があると示しているでしょう。

私の詰めの甘い背景知識と違い、かなり詳しい方が書いておられる以下のページを発見しました。

まあ、私はG8で具体的な答えを出したいので、高いSNが保証されそうなマイクユニットを探している所です。



[PR]
by Ataron | 2017-04-27 19:42 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(0)

Panasonic G8 の動画録音:ライン入力は高音質

2017年 04月 13日
価格.Comのカメラ板を覗いていると、G8の動画の音質が悪いと言う意見があります。 GH5は当然ですが、G8でも動画撮影に重きを置くユーザーは少なくなく、動画と一緒に録音される音質も大事な要素になってます。

しかしG8発売当初は、ボディ内手ブレ補正の動作音が従来の機種になく目立ち、これは早々にファームアップで改善されています。 この当初の悪印象が思い込みとなった意見が見られます。 しかし録音のバックグラウンドノイズは、実際に悪いとすれば何を改善すべきなのか、ちゃんと調べないと改善は無理です。

余談ながら、この種のノイズを「ホワイトノイズ」と言う風潮があり、違和感を覚えます。 ホワイトノイズはノイズの種類を示す言葉で、バックグラウンドノイズは必ずしもホワイトノイズではないので。「動物園は色んな動物の写真を撮った」と普通に言えば良いのに「色んな哺乳類の写真を撮った」と言っている様に聞こえます。



今回はライン録音のテストをした事で、G8の録音時のノイズや音質の問題が少し見えて来ました。 以下は録音結果を纏めた動画です。


これは「G3 内蔵マイクによる録音」「G8 内蔵マイクによる録音」「G8 ライン録音(アッテネーター経由)」の3種類の録音を比較しています。 各動画撮影の条件は、

◎手ブレ補正の無いレンズ使用、全ての手ブレ補正OFF、AF動作OFF、の設定。 ステレオの20cmクラスのスピーカーから1m程度の距離に三脚固定。 PCからテスト音源を再生して内蔵マイクのテストをしています。
◎室内の蛍光燈、空調、冷蔵庫、などを停止して、外部雑音を極力抑えた動画撮影。
◎マイク録音の感度設定は、G3 レベル3(レベル1~4)G8 0dB(-12dB~+6dB)に設定。(この設定で、若干G3が感度が低い)
◎CDの送出し音量はMaxで、スピーカー音量をG8の録音メーターで「ピークが赤マークの手前に納まる」音量にアンプ側で設定。(私が日常で聴くより少し大人しいレベルです)
◎G3 レベル3では感度が少し低くメーターはアンダー目になりましたが、問題のない範囲です。
◎G8のライン録音はアッテネーターの減衰量を既に調節していたので、G8の感度設定は 0dBのままで「ピークが赤マークの手前に納まる」状態となっています。

G3内蔵マイク、G8内蔵マイク、G8ライン録りの感度差は、テストトーンのレベルが同様になる様、録音したデータを最終的に調節して比較しています。

以下はテストの信号の流れの様子で、緑はマイク録音、青はライン録音です。

b0174191_12452618.png

「DA変換器」は、PCで音楽を聴くための「USBデジタルオーディオプロセッサ」というONKYO製中級品です。「減衰器」はアッテネーターのことで、これは即席でバラック配線で組んでいます。

b0174191_12542850.jpg

アッテネーターは、抵抗値はDA変換器の出力インピーダンス10KΩ、カメラ入力側は数KΩと予想し、減衰比1/250(-50dB程度)にしています。 これでCD再生のMax出力に対し、G8側は録音ゲイン 0dB 設定で、メーターが最適(赤が出る寸前)となりました。(デジタル録音は、もう少し低レベルに抑えるのが一般的かも知れません) 下図はアッテネータの回路図です。(出力機器側は実際はピンジャックで製作)

b0174191_12553797.png




最初の動画データで、テストトーンの後に4secずつの無音部があり、ボリュームを上げないと聞きにくいですが、録音時のバックグラウンドノイズを比較したポイントです。 各動画のこの最初の範囲を音声アプリに取り込んで調べたのが以下です。

b0174191_13143989.png

頭のテストトーンの高さが同じになる様に、各データのレベルを調整しています。 左側の「G3 Mic」と「G8 Mic」を比べると、G3の方がノイズは少し多く、昔からGシリーズはこの程度のノイズ性能だったのが判ります。 少なくともファームアップ対策後では、G8が「ボディ手ブレ補正の搭載で非常にノイジー」なのではなく、「G7ならそれが無いから良い」と言うのはおそらく勘違いで、測定してみれば判るはずです。

右側のライン録音は、明らかにノイズレベルが違います。 最初の動画を聴くと、ライン録りは音のボリュームも大きく(低音域が豊富なためでしょうか)、聴感上のダイナミックレンジはとても良好に感じます。

下図はノイズ部のレベルをこのアプリのdBメーターで調べたものです。 注意願いたいのは、先の波形観測の図から判る様に、テストトーンはいわゆる「0dB」よりかなり小さいレベルです。 下図は、バックグラウンドノイズの程度を比較するために、テストトーンが「-9dB」になるまで増幅して各録音レベルを揃えたものです。 従って表示は「相対的」で「目盛り値=SN比」でありません。(SN比はもっと良い値のはずです)

b0174191_13150391.png

G3とG8のマイク録音時ノイズはG8が僅か少ないが、五十歩百歩です。 これはラジカセのレベル以下で、気にしだすと気になるレベル、問題になるのは否めません。 一方ライン録りは、予想以上の結果です。 オーディオマニアには未だ足りないでしょうが、普通の動画の音としては十分です。 ノイズ特性だけでなく、音質としても音楽を普通に楽しむレベルを満たしていると思います。

マイク録音の方は、以前のテストでも当惑した低音域の大幅なカット、高域部のみが目立つ音、と言った癖が明らかです。 これは、G3もG8も同じ、音質は昔のラジカセの内蔵ECMマイクの録音と良く似ています。 ECMの高品位なマイクを用意して外部マイクとして使用した場合、この音質の癖は改善されると思われます。 ECMの高品位マイクは、高域側の感度を落として、感度の低い低音域に近付けて周波数特性を平坦化するので、一般に感度が低い様です。 このため、バックグラウンドノイズに関しては、はたして改善されるかは疑問です。 このノイズの改善には、それが良くない原因について、もう少し考察が必要と感じます。



安価なワイヤレスユニット用のピンマイクがあったので、これを外部マイクとしてテストしました。

b0174191_15334063.jpg

予想はしていたのですが、この外部マイクのノイズ特性は内蔵より悪い結果でした。 G8の手ブレ補正をOFFとした場合(おそらくONでも動作が穏やかな場合)、その機構の振動はノイズと殆ど関係無いと言うことは、よりはっきりしました。 G8の内蔵マイクはノイズの特性が芳しくないとは言え、G3やこの安価なピンマイクより良いのです。 もしボディ内手ブレ補正機構がG8のノイズの主要原因なら、G3やピンマイクはもっと良い値を示すはずですから。

では、これらのマイク録音の全てで、ノイズ特性が芳しくないのは何故か?

ライン録音の好結果で判った事は、「内蔵マイク」もしくは、そのレベルをラインレベルに持ち上げる「ヘッドアンプ」の周辺がバックグラウンドノイズの殆どを発生させているという事です。

b0174191_15195564.png

上図は、マイク周辺の回路構成を推測した模式図で、上側は内蔵マイクと外部マイクに別個にヘッドアンプがある場合、下側はヘッドアンプが共用で、ジャックで切り替えている場合です。 たぶん私は下側の構成ではないかと思いますが、これはG8を分解しないと判りません。

赤い部分がノイズの発生し易いと考えられる場所ですが、上側で内蔵/外部でヘッドアンプの特性が著しく異なるとは考えにくく、また下側の場合は同じヘッドアンプです。 これは上下のいずれの構成でも、マイクユニット側が怪しいと考えるのが普通です。

ここで思い当たるのは、電気的に感度の高いマイクユニットに、カメラの回路のデジタルノイズが影響しているのではないかと言う事です。 PCとオーディオ回路を連携させて使用すると、PCの電源回路の影響下にある回路は、ことごとくノイズに侵されるのに気付きます。 PCからオーディオ信号の受け渡しは、上手くやれば優れた性能になりますが、下手をするとノイズまみれです。 デジタルカメラの内蔵マイクは、その意味でラジカセより厳しい環境です。

マイクユニット自体のノイズ特性ではなく、マイクユニットをデジタル回路と切り離さず使用しているので、ノイズ特性が悪いのではないかと、私は疑い始めました。 ライン録音の場合、ラインレベルの強い信号とアッテネーターが壁になって免れたという推測です。

 ①内蔵マイクユニット自体のノイズ性能が悪い
 ➁カメラのデジタルノイズがマイクユニットや周辺回路に影響している

Panaのマニュアル上の「外部マイクで上質の録音が可能」の説明通りなら、単に①が原因という事になります。
もし➁が原因なら、カメラからのパスパワーで動作する外部マイクは、ノイズ性能が改善しない場合が出て来ます。(低域の音質などは良くなり得ても)

実際に外部マイクで良い結果が出せれば、①か➁かは判って来るでしょう。 ECMマイクをカメラからのノイズに影響されない様にするには、外部にマイクのヘッドアンプを用意するのが確実と思います。 これは、後日に実際に試してみたいと思っています。



[PR]
by Ataron | 2017-04-13 23:57 | 撮影機材/技術 | Trackback | Comments(1)